Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム 領域横断3 3次元画像診断の適応と展望

(S193)

心臓CT,MRにおける3次元診断の現状

Current status of three dimensional imaging of cardiac CT and MRI

陣崎 雅弘, 山田 祥岳, 橋本 正弘, 大熊 潔

Masahiro JINZAKI, Yoshitake YAMADA, Masahiro HASHIMOTO, Kiyoshi OHKUMA

慶應義塾大学医学部放射線診断科

Department of Diagnostic Radiology, Keio University School of Medicine

キーワード :

心臓CTは,マルチスライスCTの登場とともに2000年頃より研究が始まり,2004年に64スライスCTが登場し,臨床で広く使われるようになった.冠動脈の狭窄病変の分布,走行異常を1枚の画像で3次元的に診ることができる(図).狭窄の診断能は,感度,特異度ともに90%から95%ときわめて高く,特に陰性的中度は100%に近い値が報告されている.また,肺静脈アブレーション術前に肺静脈を,心臓再同期療法前に冠静脈を3次元的に構築して提示することもできる(図).大動脈弁の評価も可能で,石灰化2尖弁の診断においては非常に有用である.最近ではStructured Heart Diseaseにおいての活用も進んでいる.経カテーテル大動脈弁置換術の術前では,大動脈弁と上行大動脈から腸骨動脈までの動脈の同時評価が行われており,閉塞型肥大型心筋症のアブレーション前には冠動脈中隔枝の走行を評価することも可能である.
心臓MRも近年めざましい進歩をとげているが,2次元像でのシネ像や遅延造影の診断のための活用が主流である.最近では1回の息止めで心臓全体を撮影する3Dシネ撮影が可能になり,5分程度かかっていた撮影時間を著明に短縮させている.冠動脈の3次元評価も可能になっており,被曝がなく感度80%,特異度90%程度の診断能は得られている.
CTやMRIは超音波に比べて時間分解能は低いので弁機能の評価などには劣るが,冠動脈や心臓外病変を俯瞰的に診断できることが大きな利点である.相補的に使い分けていくことが肝要と思われる.