Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

男女共同参画委員会企画
シンポジウム 日本超音波医学会における男女共同参画社会の実現にむけて

(S181)

川崎医科大学および超音波センターにおける現状と取り組み

The current status of gender equality and the efforts towards its realization in Kawasaki Medical School

畠 二郎

Jiro HATA

川崎医科大学検査診断学

Dept. of Endoscopy and Ultrasound, Kawasaki Medical School

キーワード :

【はじめに】
各学会において男女共同参画に関する委員会の発足ならびに学会での企画が盛んに行われている.政府主導の感も強いが,いずれにしても自分自身はこのテーマに関する十分な見識を持ち合わせているわけではなく,泥縄的に勉強中であることを最初にお断りしておく.とりあえず本セッションの企画に基づき,ここでは当学の現状と推進に向けた取り組みについてその概略を述べる.
【当学の現状】
医学部の専門教育課程では469名の専任教員と17名の兼任教員が担当している.専任教員のうち女性は81名(16.8%)である.2008年における女性教員数は47名であり,増加傾向にある.ただしその内訳は助教185名中56名(30.3%),講師162名中20名(12.3%),准教授55名中4名(7.3%),教授81名中1名(1.2%)であり,女性教員の昇格が少ないことは明らかである.教授,准教授の採用は公募が原則であり,選考は人事委員会において十分な協議のうえ行われ,最終候補者は大学運営委員会および教授会の議を経て理事会に報告し承認を受ける.一方講師・助教の新任,昇任は原則として当該教室の主任者の推薦による.
【改善すべき事項に対する取り組み】
本学においても女性教員の登用は重要課題と認識されている.平成25年度よりワーク・ライフ・バランス(WLB)に関するワーキンググループを立ち上げており,メディカルカフェinかわさきといった催しなどの活動を発展させて女性医師のキャリアアップが実現しやすい体制を整え,学生や研修医への啓蒙も行われている.
【超音波センターの現状と取り組み】
専任教員に女性はおらず,教室員としての女性は1名の大学院生のみであるが,職員ではないため基本的にdutyは存在せず,時間配分は比較的自由度が高い.センターで日常的に超音波を行っている女性医師は4名であるが,いずれの医師も他科あるいは他院に所属しており,原則として当科からの強制的な業務は発生しておらず,基本的にストレスの少ない状況と考えられる.検査技師は6名でうち女性技師が4名,男性技師はいずれも女性技師より若く,その点でむしろ女性社会である.幸い最近では技師相互の人間関係に大きな問題はないようで,比較的穏やかな職場環境である(と思われる).技師の昇任に関しては中央検査部の管轄であり,センターは直接関与していない.従って大きな取り組みは行っていないのが現状である.ただし女性技師はやはり家庭生活での負担が大きいという点を鑑み,時間外業務あるいは学会,研究会,勉強会などの行事への参加に関してはあくまで任意としている.一方自分自身がWLB管理職か否かについては全く自信がなく,そもそも管理職と言えるかどうかも疑問である.
【おわりに】
以上,本学における現状を述べた.超音波センターにおいてはglass ceilingというよりceilingそのものがほぼ存在しないためあまり参考にならない.大学教員構成においては意図的に女性教授の採用を避けているようには思えず,背景には種々の要因が存在しており,形を整えるだけで解決する問題ではない.同様に各学会で理事や代議員の女性枠が導入あるいは検討されているが,お上のお達しに従順な日本らしい対応のようにも感じる.女性枠,と大々的に謳うこと自体がその学会において男女共同参画に対する根本的対策ができてません,と公言しているようなものではなかろうか.