Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

男女共同参画委員会企画
シンポジウム 日本超音波医学会における男女共同参画社会の実現にむけて

(S180)

山陰地方にある鳥取大学医学部附属病院における取組

Approach in Tottori University Hospital at San-in Region

山本 一博

Kazuhiro YAMAMOTO

鳥取大学医学部病態情報内科

Division of Cardiovascular Medicine, Endocrinology and Metabolism, Faculty of Medicine, Tottori University

キーワード :

本州の西端にある中国地方の日本海側(山陰地方)に位置する鳥取県は人口が57万人,高齢化率が29%である.鳥取県とともに山陰地方を構成する島根県も人口が69万人,高齢化率が31%であり,両県とも人口が減少し高齢化率は上昇している.高齢化に伴い生産年齢人口は減少するため色々な職種で人手不足が起きており,医療現場もその中の一つである.昨今,男女共同参画が広く取り上げられるようになった背景には,社会全体の意識の高まりだけではなく,このような生産年齢人口の減少に伴う労働力不足や経済の停滞を解消するための方策の一つとして女性の社会進出が注目を集めているという背景もあると思われる.
医療現場における男女共同参画は,性差に関係なく各自の能力に応じた活躍の場が提供されることで実現できる.かなり以前から方策は考えられてきたにもかかわらず必ずしも実を結んでこなかったのは,根強く残る男女間の固定的な役割分担意識とともに,女性にだけ目を向けた対策が主であったことが影響をしていると考えられる.人手不足の地域・職場で女性の社会進出を促す際に,女性にのみ配慮した施策を行うと男性側の負担感や不公平感が強くなる危険がある上,職場全体の長時間労働による疲弊も解決されず,問題解決にならない.男性側の意識改革を進め,男女を問わない多様性を考慮しつつ,働きやすく安全で質の保たれた医療が提供できる労務環境の設定が必要となる.鳥取大学医学部附属病院では病院の第2期中期目標(H22年からH27年)の一つである「働きやすさトップクラス」を実現する組織として「ワークライフバランス支援センター」を平成22年4月に設置し,
1,育児・介護支援による仕事と生活の両立
2,メンタルヘルスケアシステムによる快適な職場づくり
3,職場復帰支援システムによる人材の定着化の推進
を揚げ,男女ともに仕事と家庭を両立できるようにする支援活動が展開されている.またIターン,Uターンを促し潜在する優秀な人材を活かす試みとして「シングルマザー(ファーザー)支援制度」を策定し,これをJR東京駅において広告するなど広報にも力を入れている.