Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

男女共同参画委員会企画
シンポジウム 日本超音波医学会における男女共同参画社会の実現にむけて

(S180)

奈良県立医科大学の現状と超音波部での取り組み

The present condition and action of the gender equality in Nara Medical University

平井 都始子

Toshiko HIRAI

奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部

Department of Endoscopy and Ultrasound, Nara Medical University

キーワード :

【奈良県立医科大学の現状】
奈良県立医科大学の平成26年度における医学部学生総数は680名そのうち女子学生は198名(29.1%)で,最近の医師国家試験合格者に占める女性の割合(32%程度)よりやや少ない傾向にある.
附属病院で臨床業務に携わる医師数は,平成26年9月現在で612名.研修医99名中女性28名(28.3%)は,医学生の男女比とほぼ同程度あるが,臨床系教員243名中女性27名(11.1%),医員270名中女性91名(33.7%)と,男性医師は54.7%が教員であるのに対して,女性医師は76.5%が医員という立場にあることが読み取れる.教授の女性比率は6.8%,准教授・講師の女性比率は11.6%と,意思決定の場にある女性比率は低い.
【奈良県立医科大学での取り組み】
1.平成23年2月「優れた女性研究者の育成を図り,もって本学の研究・教育活動を一層活性化させる」ことを目的とした女性研究者支援センター「まほろば」が設置された.理事長直轄で①研究継続支援,②女性研究者の増加支援,③意識啓発・広報,④女性研究者育成,の4つの活動目標を示している.
2.平成23年4月から院内保育園が拡大拡充され,定員は従前の16名から60名に,4歳未満児を就学前まで午後8時までの延長保育ならびに土曜保育が可能となった.平成27年には定数が90名に増員され,外部委託による病中・病後児保育も実現した.
3.平成25年ワークライフバランス検討委員会が設置され,平成26年1月に推進のためのアンケート調査を実施.平成26年12月より,短時間正規職員制度が導入された.
【中央超音波部での取り組み】
中央超音波部では専任の超音波専門医2名,臨床検査技師4名(内2名は平成26年より)と主に消化器内科など各診療科の医師により,心エコーと産科,体腔内走査を除く全ての領域の検査を年間約13000件こなしている.また,年間20名程度の研修医の指導を担当している.検査は基本的には予約制で,半日単位の勤務が可能,専任医師が勤務している時間帯は救急症例に対応できる.診療各科と密に連携しており,電子カルテを閲覧することで,病歴ならびに各種画像ならびに検査所見,治療経過,病理所見などを把握できる.各領域における検査技術や知識を修得して超音波専門医,超音波検査士の資格を取得できる環境にある.これらの特徴を生かし,超音波専門医を希望する女性医師や超音波専門医・指導医の継続を希望する女性医師は,研修医の指導や技師が担当した検査のチェック,臨床研究などを継続している.また,平成19年より東京女子医の「女性医師再教育センターの復帰のためのプログラム」に研修受け入れ病院として登録し,1名がこの制度を利用して日本脳神経超音波学会認定脳神経超音波検査士の資格を平成24年に取得し,地域医療に貢献している.超音波専門女性医師はもとより,特に育児や介護などのイベント中の女性医師には復帰の準備や研究の継続などをめざし超音波部を活用していただくことを期待している.