Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別企画 認定超音波検査士取得のための報告書等作成時のポイントと注意点(超音波検査士制度委員会主催)
泌尿器 

(S174)

泌尿器科領域報告書のポイントと注意点

Points and Notes:Urology Department area report

千葉 裕

Yutaka CHIBA

東北公済病院女性骨盤底再建センター

Female Pelvic Floor Reconstructive Surgery Center, Tohokukosai Hospital

キーワード :

本稿では泌尿器領域受験のレポートについて,試験委員からみたポイントと注意点をまとめます.
【症例数と内訳】
提出する症例数は20症例です.同じ疾患ばかりに偏らないように疾患コードは細かく6つに分けられています.疾患コードD-1〜5の疾患群はそれぞれ2ないし3症例以上の提出が必要ですが,D-1〜5で20症例を満たせばD-6は不要となります.各コードの疾患内容内訳は,D-1は腎悪性腫瘍3例以上で,具体的な疾患としては腎細胞癌や腎盂癌となります.D-2は腎の良性腫瘤性疾患3例以上で,腎血管筋脂肪腫,腎嚢胞,嚢胞腎などになります.D-3はD-1,2以外の腎疾患2例以上で,腎動脈瘤や腎動静脈奇形など腎血管性病変,腎膿瘍や急性腎盂腎炎などの腎炎症性疾患,腎外傷,腎正常変異などがこのコードに含まれます.D-4は上部尿路疾患3例以上で,水腎症,重複腎盂尿菅,腎尿管結石,尿管腫瘍などです.D-5は3例以上で,膀胱・前立腺・陰嚢内容・外陰部疾患で,膀胱癌,膀胱結石,膀胱憩室,尿膜管嚢胞,前立腺肥大症,前立腺癌,精巣腫瘍,陰嚢水腫,精巣上体炎などがこのコードに含まれます.
D-6のその他には,副腎腫瘍,後腹膜嚢腫,ナットクラッカー現象などが含まれます.
【基本的注意事項】
①同一症例において複数の腎・泌尿器疾患がある場合は,主たる疾患のみを提出します.②経直腸的超音波検査は,医師が施行し,受験者自身が超音波の記録を行った症例に限って提出を認めます.③スケッチは,無エコーの領域(尿,嚢胞やBモード像の血管など)を白,エコーのある部分を黒で表現し,対象臓器のみではなく周囲の関連する臓器についてもたとえ異常がなくとも記載すること,などを注意します.④超音波検査所見の記載欄に病名(例えば,結石,嚢胞など),超音波診断の記載欄に所見や症状(例えば腎盂拡張,急性腹症など)を記載しないこと.⑤最終診断には,病理学的診断名までは必ずしも記載する必要はなく,生検や手術の行われていない症例では,例えば腎腫瘍(腎血管筋脂肪腫疑い),前立腺癌疑い,精巣腫瘍疑いなどの記載でも構いません.
【超音波断層像の表示方法】
泌尿器科領域の超音波断層像の表示方法について,時に混乱している受験者を見かけます.腹部については超音波医学10巻6号1983年,体腔内走査については超音波医学15巻2号1988年に収載されています.また新超音波医学第1巻医用超音波の基礎2000年に他領域と合わせ,付録2.超音波断層像の表示方法として収載されているので,是非それらに一度は目を通し,正しい表示方法で報告書の作成をお願いします.
【その他の注意点】
特に泌尿器科領域で目立つ用語の誤った使用例や誤字・脱字,超音波像の写真やスケッチで気になる点,超音波診断や最終診断,考察の記載で特に注意していただきたい点など,実際に採点する立場からその要点を解説します.