Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別講演 エキスパートに聞く,今の旬
消化器 

(S166)

エキスパートに聞く,今の旬 私の旬─超音波を診療に活かす─

The height of my career Maximize the benefit of ultrasound in my practice

飯島 尋子

Hiroko IIJIMA

兵庫医科大学超音波センター

Department of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, Hyogo,Japan

キーワード :

【はじめに】
超音波検査法は,自分の知識や技術で診断し治療につなぐことが出来る唯一の検査法です.
私にとって今の(ずっと)旬は超音波を診療に活かすことです.そのためには常に何故かを解明することです.今回は,私が20代から継続して検討してきた肝癌とクッパー細胞,さらに線維化への発展について発表します.
【肝癌】
肝癌,多段階発癌が多いことは周知の事実です.Levovistが発売されKupffer相が議論になった.未だに完全には認められないKupffer相ですが,Sonazoid®による実験の結果,核心に迫る事が出来たと考えている.生体では目視でKupffer細胞への貪食が確認出来ており過去の本会で発表した.この事実により肝細胞癌の分化度が増すとKupffer細胞が減少するためSonazoid®だけで組織診断に迫ることが可能となった.所謂旬とはほど遠いかも知れないが,私は,未だに旬と考えている.即ちこれを応用した研究が着々と増えているからです.
【Kupffer細胞】
例えばNASHの病態ではKupffer細胞の活性化が問題となっている.NASHは,メタボリックシンドロームが増加している現在,今まさに旬の病態である.これは,わが国でもNBNCからの発癌が25%以上となったことも旬に拍車をかけている.超音波によるNASH診断は,Sonazoid®がKupfferに貪食する性質を利用した画期的な診断法で経過観察にも利用できる.
【線維化】
これはまさに肝疾患診療の旬である.ウイルス性肝炎が治癒できる時代になった.肝線維化は発癌に関与することもあり超音波を利用した硬さ診断による線維化診断は最も注目されている.しかし肝臓の線維と硬さが直結しない点も学問として注目されている.
【まとめ】
所謂旬は過ぎると古くなる.しかし旬は,次へと継続することが重要であると感じて今後診療研究に従事して行きたいと思っている.