Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別講演 エキスパートに聞く,今の旬
消化器 

(S159)

エキスパートに聞く,今の旬 膵癌治療への新たなる挑戦;切除不能膵癌に対する強力集束超音波(HIFU)療法

New challenge to therapy of a pancreatic cancer〜High-Intensity Focused Ultrasound(HIFU)for unresectable pancreatic cancer

祖父尼 淳

Atsushi SOFUNI

東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野

Gasoenterology and Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

本邦では膵癌の羅患率および死亡率は増加傾向にあり,年間約2万人が羅患し,約2万人が死亡すると報告されている.これまでさまざまな診断法を駆使し早期診断に務めているが,切除不能膵癌がいまだ60%を超えている.切除不能膵癌に対しては原則的に,化学療法あるいは化学放射線療法が行われているが,満足しうる成績が得られていないのが現状である.そのような状況下で切除不能膵癌に対し,新たな治療法の開発が期待されている.その中でも放射線被曝がなく,針なども必要としない低侵襲の治療法として注目されているのが,強力集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound; HIFU)療法である.HIFU療法は,多数の超音波発信源から腫瘍の目的部位の1点に集束させ,体外から組織の焼灼を行う治療法である.焦点領域のみを80〜100度に加熱し,熱エネルギーおよびキャビテーションの作用により組織を凝固壊死させ,焦点領域以外の介在組織にはほとんど影響を与えないという治療法である.われわれは切除不能膵癌に対するHIFU治療の安全性と有効性を検証し,治療法を確立するため,Yuande Bio-Medical Engineering社のFEP-BY02を用いて臨床試験を2008年12月よりおこなっている.現在まで切除不能膵癌130例に対しHIFU治療をおこなっているが,安全にHIFU治療をおこなうことが可能であり,良好な治療効果が得られている.さらなる検討や症例の蓄積が必要であるが,予後不良な膵癌への低侵襲治療のひとつとなりうる可能性が示唆される.本講演では,切除不能膵癌に対するHIFU治療について機器およびその概念や理論,治療概要,実際の治療症例について概説する.