Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別講演 エキスパートに聞く,今の旬
運動器 

(S155)

エキスパートに聞く,今の旬 運動器の超音波検査

Ultrasound diagnosis of musculoskeletal

石崎 一穂

Kazuho ISHIZAKI

JCHO東京新宿メディカルセンター中央検査室

Central Clinicl Laboratory, JCHO Tokyo-Shinjyuku Medical Center

キーワード :

【はじめに】
運動器領域のエコーは他の領域よりも後発で,成熟した検査法とは言えません.
他の画像で評価困難であった組織の評価や,動きの評価方法として,今後も発展が見込まれています.今回は「診療」の基本となる診断法に関して,私見ではありますが,着目している検査法と検査部位に関して解説します.
【検査方法に関して】
運動器領域では,既存の検査方法を利用して検査が施行されています.
現在表在領域で使用している,高い分解能の高周波リニア型プローブは,その高い分解能から,組織の質的な診断に適していて,検診から診療まで十分な結果を出しています.しかし,関節内への薬液の注入や任意のストレステストは,より正確な病巣の評価を可能にしています.例えば肘関節内側側副靭帯損傷が疑われた場合,関節内に麻酔薬を注射することで,わずか数mmのポケットを発見でき,任意のストレス検査で断裂部位の評価が可能になり,手術を施行するかリハビリテーションをしながら経過観察するかの判断の一助となっています.
組織の損傷や炎症の判断には,Bモード法に加えドプラ法が利用されています.関節リウマチの領域では,すでに滑膜の炎症をパワードプラ法で評価していますが,今後は組織損傷におけるパワードプラ法の評価基準やパルスドプラ法から求められる計測値による評価法の確立が望まれます.
関節痛や上腕骨小頭の離団性骨軟骨炎における有用性の報告がなされています.
更に,運動機能評価においても超音波検査が利用されていますが,今後は硬さの評価,特に硬さの絶対値評価やMモードによる運動機能評価が注目されます.
【検査部位に関して】
各関節や組織疾患の評価の超音波検査の有用性は周知のことですが,その中でも特に変形性膝関節症の超音波検査による総合評価に関して注目しています.
超音波検査では,関節軟骨の厚みを計測できるだけでなく,半月板の状態,骨棘の評価,関節液および滑膜の評価,関節周囲の組織評価を一度位に短時間で簡便にできます.完全に解明されていない,発症原因と進行過程,痛みの原因解明の一助となる可能性があります.発症や進行過程が解明されれば,進行を抑制するようなリハビリテーションや装具の開発にもつながるはずです.
【まとめ】
運動器領域の超音波検査は,まさに今が「旬」です.