Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 脳神経
脳神経/TEE

(S800)

非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)により多発脳梗塞を発症した胆嚢癌の1例

Multiple ischemic strokes caused by nonbacterial thrombotic endocarditis due to gallbladder cancer

貞廣 浩和

Hirokazu SADAHIRO

山口大学医学部附属病院脳神経外科

Department of Neurosurgery and Clinical Neuroscience, Yamaguchi University School of Medicine

キーワード :

【背景】
悪性腫瘍により生じる血栓塞栓症はTrousseau症候群として知られており,非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)はその原因の一つとされている.NBTEは肺癌,膵臓癌,卵巣癌で知られているが,胆嚢癌では稀である.我々はNBTEに起因する多発性脳梗塞を呈した胆嚢癌症例を経験したので報告する.
【症例】
62歳女性.一過性左片麻痺の精査目的で他院に入院した.入院中に多発性脳梗塞を発症し,当院転院となった.来院時,意識レベルはJCS 2,明らかな麻痺はないが左半側空間無視,左感覚障害を認め,NIHSSは6点であった.頭部MRI拡散強調画像では両側大脳半球,小脳半球に多数の高信号域を認め,MRAでは右内頚動脈閉塞を認めた.経食道心エコー(TEE)では僧帽弁に10mm大の腫瘤性病変を認め,NBTEに起因して発症した多発性脳梗塞と考えられた.ヘパリン投与(APTT 2倍)開始後は脳梗塞の再発を認めず,2週間後のTEEにて腫瘤性病変の消失を確認した.全身精査の結果,胆嚢癌を強く疑い,外科的手術を施行した.摘出標本の病理組織診断は粘液産生を伴うadenocarcinomaであった.
【考察】
胆嚢癌を原因とするTrousseau症候群の報告は稀である.粘液産生を伴う癌はTrousseau症候群と関連が深いことが知られており,本症例の病理像と臨床像についても深くかかわるものと考えた.