Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 腎泌尿器
腎泌尿器

(S796)

健診超音波検査を契機に発見された骨盤内arteriovenous malformation(AVM)の1例

Pelvic arteriovenous malformation (AVM) manifested by abdominal ultrasonography of medical check :a case report

押野見 和彦, 小川 祐, 中里 武彦, 佐藤 直也, 森田 順, 麻生 太行, 石鳥 直孝, 直江 道夫, 冨士 幸蔵, 小川 良雄

Kazuhiko OSHINOMI, Yu OGAWA, Takehiko NAKASATO, Naoya SATO, Jun MORITA, Takayuki ASO, Naotaka ISHIDORI, Michio NAOE, Kohzo FUJI, Yoshio OGAWA

昭和大学医学部泌尿器科学講座

Department of Urology, Showa University School of Medicine

キーワード :

症例は39歳男性.健康診断の腹部超音波検査で前立腺腫大と前立腺嚢胞を指摘され当科を受診した.特記すべき既往歴はない.経直腸超音波検査では軽度の前立腺腫大に,前立腺右葉底部外側に内部均一なlow echoic lesionを認めた.カラードプラ所見では乱流を伴う著明に拡張した血管が疑われた.造影MRI所見でも同部位に長径約5cmの血管と思われる管腔構造物が前立腺を圧排するように認められた.尾側は会陰部まで,頭側は右内腸骨静脈まで連続して拡張,蛇行していた.ダイナミックCTでは,前立腺右外側の静脈瘤様の拡張が早期動脈相で染まり,両側前立腺周囲の神経血管束も描出された.以上より前立腺右外側を中心とした骨盤内AVMと診断した.その後,心臓血管外科,放射線科に依頼し,経皮的血管塞栓術の方針となった.骨盤内の動静脈奇形の発生原因は,手術,外傷,分娩などに続発したものが多く,ほとんどが子宮および付属器に発生するため女性に多い.本症例は無症状であり偶発的に発見されたが,異常血管の破裂によりショックに至った例など緊急処置を要した報告もある.また血管異常が見過ごされていた場合,将来的に前立腺癌や前立腺肥大症など泌尿器科疾患のみならず骨盤内臓器の疾患が疑われた際に,精査もしくはその治療に大きな危険を伴う可能性がある.日常の泌尿器科診療で経直腸超音波検査は広く行われているが,本症例のように30歳代で行われることは多くない.しかし,経直腸超音波検査により経腹超音波検査では得られない有用な所見が得られ,診断の一助となった.比較的若年であっても,経直腸超音波検査が前立腺および周囲臓器疾患の診断に有用な場合があることを念頭に置いて診療に臨むことが重要であると考えられた.