Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 血管
血管

(S793)

経食道心エコーで大動脈弓部から下行大動脈に可動性プラークが確認された脳梗塞の1例

Aortic mobile plaque of Aortic arch and descending artery with cerebral infarction

藤原 理佐子1, 伊藤 宏2

Risako FUJIWARA1, Hiroshi ITO2

1地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター循環器内科, 2秋田大学大学院医学系研究科医学専攻, 3機能展開医学系循環器内科学・呼吸器内科学循環器内科学・呼吸器内科学

1Cardiology, Independent Administrative Institution Akita Prefectural Hospital Organization Reseach Institute for Brain and Blood Vessels-Akita, 2Cardiovascular and Respiratory Medicine, Akita University Graduate School of Medicine, 3

キーワード :

【症例】
68歳,男性.
【既往歴】
60歳時,左放線冠ラクナ梗塞にて加療,糖尿病指摘,高血圧にて加療中であった.
【現病歴】
2013年6月某日14時頃から左下肢に力が入りにくくなり,3日後近医受診,脳梗塞疑いにて当院へ紹介となった.
頭部MRIにて右視床に斑状の急性期梗塞巣を認め,同日入院となった.抗血小板剤2剤内服下での再発であり,抗血小板薬の変更を行い,脂質異常症も認め,スタチンも追加した.翌日,構音障害増強あり,MRIにて右前頭葉皮質下に新たな病変が出現した.頸動脈エコーにて右内頸動脈に潰瘍形成を示す所見を認め,塞栓源であると考えられた.更に,塞栓源検索として経食道エコーを施行し,大動脈弓部遠位部から下行大動脈にかけて,不規則で著明な壁肥厚と可動性プラークを認めた.可動性プラークに対しては,外科的摘出を検討したが,手術侵襲が高度である事,腎機能低下や全身状態への合併症併発の確率が高いと判断され,保存的加療の方針となった.
【考察】
頸動脈に潰瘍形成,及び下降大動脈とみられる血管に可動性プラークが確認された脳梗塞の1例を経験した.下降大動脈近位部の血流は逆行性に左鎖骨下,左総頸,腕頭動脈に到達し,下降大動脈にある破たんプラークが逆行性の塞栓源になりうるという報告もあり,本症例も下降大動脈からのプラーク破綻による塞栓の可能性も否定出来ない.動脈硬化は全身血管に同時に起きうる事が考えられるため,一部の血管で高度動脈硬化が見られた際には他主要血管の検索も必要と考えられた.