Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 血管
血管

(S791)

膝窩部嚢胞性腫瘤の2症例

Two Cases of Cystic mass in the Popliteal fossa

田端 強志1, 山田 美奈1, 金 徳男1, 稲岡 努2, 柴田 孝史3, 益原 大志4, 徳山 宣5, 蛭田 啓之5, 東丸 貴信6

Tsuyoshi TABATA1, Mina YAMADA1, Tokuo KON1, Tsutomu INAOKA2, Takashi SHIBATA3, Taishi MASUHARA4, Wataru TOKUYAMA5, Nobuyuki HIRUTA5, Takanobu TOMARU6

1東邦大学医療センター佐倉病院生理機能検査部, 2東邦大学医療センター佐倉病院放射線科, 3東邦大学医療センター佐倉病院整形外科, 4東邦大学医療センター佐倉病院心臓血管外科, 5東邦大学医療センター佐倉病院病理部, 6東邦大学医療センター佐倉病院循環器センター

1Department of clinical physiology, Toho university medical center sakura hospital, 2Department of radiology, Toho university medical center sakura hospital, 3Department of orthopaedic surgery, Toho university medical center sakura hospital, 4Department of cardiovascular surgery, Toho university medical center sakura hospital, 5Department of pathology, Toho university medical center sakura hospital, 6Department of cardiovascular center, Toho university medical center sakura hospital

キーワード :

下肢血管エコー検査の際に膝窩部周囲に嚢胞性腫瘤を認めることがある.今回,我々は当院で経験した膝窩部嚢胞性腫瘤の2症例を報告する.
【症例1】
71歳,女性.歩行時の右下腿の痛みで近医にて鎮痛剤を処方されていたが改善せず当院受診.左右ABIは膝伸展時には正常であったが,屈曲時に右ABIの低下がみられた.下肢動脈エコーでは右膝窩動脈に隣接した径30×20ミリの嚢胞性腫瘤を認め,カラードプラでは腫瘤内に血流信号は認めず,動脈との交通も認めなかった.この嚢胞性腫瘤による膝窩動脈の圧排・狭窄所見は認めなかった.下肢MRIでは大腿骨前十字靭帯付着部背部より上方部に嚢胞性変化を認め,ガングリオンと診断された.膝屈曲時にこの嚢胞性腫瘤の圧排・狭窄による血流障害の痛みと考え,エコーガイド下で嚢胞性腫瘤の吸引穿刺を施行.はちみつ様の粘稠性のある液体を5ml吸引した.吸引後,症状は改善し,有事再診となった.
【症例2】
52歳,男性.右下肢の間歇性跛行(約200m程度)で当院を受診.ABIは左右正常であったが,下肢動脈エコーで右膝窩動脈に隣接して嚢胞性腫瘤を多数認め,動脈内腔は圧排され狭小化されているように見えた.また,カラードプラでは腫瘤内に血流信号は認めず,動脈との交通も認めなかった.下肢血管3D-CT検査では右膝窩動脈に高度狭窄所見を認め,下肢MRI検査では右膝窩動脈周囲に縦長の構造物を認め,同部で膝窩動脈が圧排されていた.以上これらの所見から外膜嚢腫と診断された.膝窩動脈切除と自家静脈移植術(大伏在静脈)を施行した.病理所見は肉眼的には動脈壁に粘液を貯留した嚢胞状の病変が見られた.組織学的には外膜内に粘液の貯留や組織球浸潤,多房性の嚢胞状構造が見られ,膝窩動脈外膜嚢腫として合致する所見であった.術後間欠性跛行は消失し,軽快退院した.