Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター コメディカル
体表・その他

(S786)

四肢に多発した腫瘤型筋サルコイドーシスの一例

A case of nodular muscular sarcoidosis in limbs

物部 真子1, 長谷部 愛1, 北出 和史1, 森 宏樹1, 柏瀬 一路2, 水谷 哲1

Masako MONOBE1, Ai HASEBE1, Kazushi KITADE1, Hiroki MORI1, Kazunori KASHIWASE2, Tetsu MIZUTANI1

1大阪警察病院臨床検査科, 2大阪警察病院循環器内科

1Department of Clinical Laboratory, Ooska Police Hospital, 2Department of Cardiovascular Division, Ooska Police Hospital

キーワード :

【はじめに】
サルコイドーシスは,全身の臓器に非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を生じる原因不明の疾患である.肺門,縦隔リンパ節病変の頻度が最も高く,ほかに肺,眼,皮膚などの臓器をしばしば侵す.骨格筋も好発部位とされるが,その中で腫瘤を形成するものはまれである.腫瘤型筋サルコイドーシスの画像診断にMRIが有用とされているが,超音波でも類似した特徴的な所見を得ることができ,容易に診断可能な場合がある.今回我々は,両側四肢に多発した腫瘤型筋サルコイドーシスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
【症例】
40歳男性.黒色人種.2012年7月に乾性咳嗽と微熱が続くため呼吸器科を受診され,胸部レントゲンにて両側肺門部リンパ節腫大を認めた.造影CTでも,縦隔・肺門リンパ節腫大を認め,サルコイドーシスが疑われた.気管支鏡検査にて肺生検を行い,組織診にて類上皮肉芽腫を認め,サルコイドーシスの診断となった.2012年11月,四肢の硬結を自覚し,痛みがあるため皮膚科を受診された.体温37.5℃,血液検査ではCK661U/l,CRP5.13mg/dl,アルドラーゼ9.0U/l,ACE30.4U/lと高値を認めた.両側前腕屈側,両側下腿屈側部に軽度の圧痛を伴う索状硬結を触知した.被覆皮膚に変化は認めなかった.体表超音波検査にて筋層内に筋繊維に沿う索状の腫瘤を多数認めた.腫瘤は境界明瞭な低エコーで,中心部には高エコー域を含んでおり,長軸走査では帯状の低エコー域内に線状の高エコー域を認め,低-高-低エコーの三層構造を呈していた.短軸走査で腫瘤は円形で,短径は5mm〜10mm,長径は30〜50mmであった.サルコイドーシスの筋病変を疑い腫瘍生検を施行し,病理組織学的に多核巨細胞の出現をともなった類上皮肉芽種の形成を多数認め,サルコイドーシスとの確定診断を得た.
【考察】
骨格筋は,サルコイドーシスの好発部位とされ,無症候型,ミオパチー型,腫瘤型に分類される.腫瘤型の筋サルコイドーシスは,表皮変化のない皮下結節として触知されることがあるが,臨床所見のみで確定診断をつけることは困難である.一般的にMRIでのdark star signとthree stripes signは特異的とされ,診断に有効である.超音波でも類似の所見を得ることができその特徴的な画像所見から,生検時に疾患の予測が可能となり,診断の補助として重要な役割を担うものと考える.