Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター コメディカル
消化器・泌尿器

(S785)

Schnlein-Henoch紫斑病に精巣上体炎(精巣捻転)を合併した男児1例

A case of Henoch-Schnlein purpura with epididymitis in a child

稲川 天志1, 藤田 裕司1, 木澤 史江2, 石崎 雅俊1, 山川 仁憲1, 宗像 浩司2, 三枝 裕和2

Takashi INAGAWA1, Yuuji FUJITA1, Fumie KIZAWA2, Masatoshi ISHIZAKI1, Hironori YAMAKAWA1, Kouji MUNAKATA2, Hirokazu SAIGUSA2

1東京慈恵会医科大学附属第三病院放射線部, 2東京慈恵会医科大学放射線医学講座

1Department of Radiology, Jikei University School of Medicine daisan hospital, 2Department of Radiology, Jikei University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
Schnlein-Henoch紫斑病(以下,SH紫斑病)は,急性のアレルギー性機転により生ずる全身の毛細血管動脈壁の無菌性血管炎であり,皮膚の紫斑,腹痛,関節痛,血尿,血便,腎炎など多彩な症状を呈する.これらの他に随伴症状として稀に陰嚢病変の合併がある.
この陰嚢病変は血管炎に伴い両側性のことが多く,通常,紫斑出現ののち発現すると報告されている.今回,右陰嚢痛ならびに右鼠径部痛が出現し,当院泌尿器科受診後,SH紫斑病の症状が出現した.陰嚢病変ならびにSH紫斑病という稀な合併病変を超音波検査で診断し得たので報告する.
【使用機器】
東芝メディカル製Aplio XG
【症例】
症例は4歳男児.
【現病歴】
右精巣疼痛を認め,当院泌尿器科受診.精巣捻転の診断で外来にて徒手整復を施行した.整復後,超音波検査の依頼があり,所見としては右精巣上体の腫大とそれに伴う血流信号の亢進を認めた.明らかな精巣捻転の所見は認めなかったが,右陰嚢壁ならびに周囲皮下の浮腫性変化,右陰嚢内には少量の陰嚢水腫を認めた.症状も改善し落ち着いていたため帰宅したが,その日の夜,左精巣と右下肢の疼痛が新たに出現した.翌朝には体動にて激痛を認めたため,当院小児科を受診した.受診時,両下肢に紫斑を認め,両側の足関節に全体的,両膝関節の背面と両側の手関節に触れるだけでも激痛を認めていた.腹痛はなかった.
両下肢の紫斑,症状の強い関節痛と精巣捻転後であったため,精巣捻転合併のSH紫斑病の疑いで入院となった.
入院後に精巣ならびに腹部超音波検査を施行.精巣の所見は前日とほぼ変化していなかったが,皮下の浮腫性変化が広範囲になり,それに伴う血流信号も亢進していた.腹部超音波においては,十二指腸水平脚の全周性の壁肥厚を認め,蠕動運動もやや緩慢であった.超音波において精巣上体炎ならびにSH紫斑病と考えた.
【考察】
精巣上体炎(精巣捻転)とSH紫斑病との合併頻度については,報告者によって幅はあるが,いずれにしても稀な病態である.それぞれ症状から2つの疾患を類推することは可能であるが,超音波を施行したことにより,各疾患の特徴的な所見を捉えることができ,診断の一助になったと考える.