Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター コメディカル
循環器2

(S782)

右心不全を合併したオスラー病の1例

One case of Osler disease complicated with right heart failure

上國料 章展1, 米満 幸一郎1, 盛本 真司1, 小村 寛1, 川田 慎一1, 小野原 暁恵1, 岩元 由佳1, 黒原 由貴1, 鳥居 博行2, 山口 剛司2

Akinobu KAMIKOKURYO1, Kouitirou YONEMITU1, Sinzi MORIMOTO1, Hirosi KOMURA1, Siniti KAWADA1, Akemi ONOHARA1, Yuka IWAMOTO1, Yuki KUROHARA1, Hiroyuki TORII2, Tuyosi YAMAGUTI2

1鹿児島市医師会病院生理検査室, 2鹿児島市医師会病院循環器内科

1Physiological laboratory, Kagosima Medical Association hospital, 2Cardiovascular Medicine, Kagosima Medical Association hospital

キーワード :

【はじめに】
オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は1.遺伝的発生,2.皮膚・粘膜および内臓の多発性末梢血管拡張,3.それらの部位からの反復する出血を3主徴とする疾患である.発症頻度は10万人に1-2人とまれな疾患で,斑状毛細血管拡張症が口唇部をはじめ,体幹や四肢に認められる.動静脈奇形は,肺,肝,脳など全身諸臓器に認められ,A-V shuntが高度だと心不全が,P-V shuntが高度だと肝性脳症が生じることもある.
【症例】
47歳女性.主訴は咳・頭痛・息切れ.家族歴は母・娘がオスラー病.10年前に繰り返す鼻血と家族歴よりオスラー病と診断される.1週間前から咳,頭痛が出現,ロキソニン内服のため,発熱はなかった.数日目前より息切れを自覚し近医を受診,肺炎疑いにて当院紹介となる.
心電図は洞調律,心拍数81/分,ST変化は認めず.胸部レントゲンではCTR 53%,肺血管陰影の増強および異常陰影は認めない.心エコー図検査では左室過収縮と一回拍出量の増加,右室の拡大,右室の容量負荷所見を認めた.また肝内に多数のシャント血管を認めた.腹部CTでも肝動静脈短絡が疑われ,胸部CTおよび肺動脈造影にて左肺下葉に動静脈奇形を認めた.頭部MRIでは脳動脈瘤や異常血管の増生は認められなかった.軽度の肺炎により右心不全を合併したオスラー病と診断し,治療開始する.肺炎の軽快とともに息切れ症状は改善するも,US・CTなどから動静脈シャントを原因とする高拍出性心不全状態と考えられ,肺動静脈シャント塞栓術を施行した.
今回我々は右心不全を合併したオスラー病の1例を経験した.血行動態の把握に心エコー図検査が有用であった.その後の経過を含め,若干の考察を加えて報告する.