Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター コメディカル
循環器2

(S782)

正常妊娠における心エコー変化:産褥期における拡張能と右心回復の遅延

Heart echo changes in normal pregnancy: delay right heart recovery and extended capacity in puerperium

横川 純1, 神谷 千津子1, 根木 玲子1, 三好 剛一1, 橋本 修治3, 田中 教雄3, 中谷 敏2, 吉松 淳1

Jun YOKOGAWA1, Chiduko KAMIYA1, Reiko NEGI1, Kouichi MIYOSHI1, Syuji HASHIMOTO3, Norio TANAKA3, Satoshi NAKATANI2, Jun YOSHIMATSU1

1国立循環器病研究センター周産期・婦人科, 2大阪大学大学院医学系研究科, 3国立循環器病研究センター臨床検査部

1perinatology and gynecology, National Cerebral and Cardiovasculer Center, 2graduate school of medicine, osaka university, 3clinical laboratory department, National Cerebral and Cardiovasculer Center

キーワード :

【目的】
妊娠時,循環動態は循環血液量や心拍出量の増加を主体とした生理的変化が生じる.分娩直後も子宮胎盤間の循環の途絶と子宮による下大静脈圧迫の解除により循環血液量は一過性に増加する.このダイナミックな変化が心機能にも影響を与えることが知られているが,正常妊娠における早期産褥期を含めた心機能変化の詳細な検討は少ない.本研究では経胸壁心エコーを用い,妊娠初期から産褥2か月までの心機能の変化を検討した.
【方法】
対象は基礎疾患がなく,妊娠・出産が正常に経過した妊婦69名.妊娠初期(6週から17週)・中期(18週から28週)・後期(29週以降)・早期産褥期(3週から10週)の4期についてTOSHIBA製aplioを用い各種心エコー指標を測定し,比較・検討した.
【結果及び考察】
各chamber sizeは,妊娠中徐々に拡大を認めた.左室径及び左房径は早期産褥期には妊娠初期の大きさに戻っていたのに対し,右室径は拡大したままであった.左室壁厚は中隔,後壁ともに妊娠中徐々に増大し,増大幅は後壁の方が大きかった.これらはともに早期産褥期には元に戻っていた.また左室収縮能の指標について,妊娠経過中左室駆出率に有意な変化は見られなかったが,心拍出量は増加し,早期産褥期には元に戻っていた.それに対し,拡張能の指標では妊娠中にE/A及びEaが低下し,早期産褥期も低下したままであった.E/Eaは妊娠中に有意な変化は見られなかったものの,産褥期には有意に低下していた.弁逆流については,妊娠が進むにつれMR,TR,PRでmild以下の軽微な弁逆流が出現する人数が増えたが,産褥期にはその人数は減少した.心嚢液については弁逆流同様,妊娠が進むにつれmild以下の軽微な心嚢液が貯留する人数が増えたが,産褥期には減少した.
【結論】
正常妊娠において妊娠中に拡大したchamber sizeの回復は左心に比べ右心の方が遅く,拡張能の指標とともに早期産褥期では十分に回復していない.