氏原 好恵¹, 植村 千佳子¹, 畠山 裕志¹, 富田 純子², 小野 彰範³

Yoshie UJIHARA¹, Chikako UEMURA¹, Hiroshi HATAKEYAMA¹, Junko TOMITA², Akinori ONO³

¹笠岡市立市民病院生理検査室, ²笠岡市立市民病院循環器内科, ³笠岡市立市民病院内科

¹Department of Physical Laboratory, Kasaoka City Hospital, ²Department of Cardiology, Kasaoka City Hospital, ³Department of Internal Medicine, Kasaoka City Hospital

キーワード :

【症例】
66歳女性．3か月前に僧帽弁逸脱症による重症僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術を施行．ワーファリン投与中止後約1週間で吐気・めまいを発症した．MRI検査にて小脳梗塞が見られた為，心原性脳梗塞の可能性があると考え精査加療目的で入院となった．入院後，経食道心エコー検査で僧帽弁に付着する可動性異常構造物を認めた．抗凝固療法を開始し異常構造物のサイズは縮小したが治療中にも小さな脳梗塞をくり返した．抗凝固療法を続けていたが約1年後再び脳梗塞を発症．経食道心エコー検査で僧帽弁に付着する新たな可動性異常構造物を認め，その一部が塞栓源となったと考えられた．
僧帽弁形成術後に血栓形成をきたすことは比較的稀であると言われている．今回，術後にくり返し脳梗塞を発症した症例を経験したので報告する．