Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 甲状腺
甲状腺一般示説2

(S770)

甲状腺前面に副甲状腺腺腫が存在した原発性副甲状腺機能亢進症の一例

Primary Hyperparathyroidism Caused by Parathyroid Adenoma at Anterior Surface of the Thyroid Gland

山本 浩之, 金子 千束, 重田 真幸, 貴田岡 正史

Hiroyuki YAMAMOTO, Chizuka KANEKO, Masayuki SHIGETA, Masafumi KITAOKA

公立昭和病院内分泌・代謝内科内分泌・代謝内科

Division of Endocrinology and Metabolism, Showa General Hospital

キーワード :

【背景】
副甲状腺は左右4腺ともに甲状腺の底面に位置するが,甲状腺内に存在する事や異所性に存在する事もある.さらに5腺目,6腺目が認められる症例も存在する.しかし副甲状腺が甲状腺の前面に存在する事は極めて稀である.我々は原発性副甲状腺機能亢進症で副甲状腺腺腫が甲状腺左葉前面に接して甲状腺とは独立に存在する症例を経験したので報告する.
【症例】
72歳女性
既往歴:64歳右尿管結石
家族歴:特記すべきことなし
現病歴:昨年10月第12胸椎圧迫骨折で某病院に入院.外来通院を経て近医整形外科に転院.転院時の検査でCa高値,P低値,intact-PTH高値のため当科を紹介された.
現症:左鼻翼,左上口唇に紅色の疱疹 胸腹部:異常なし
【血液検査所見】
血算,肝機能,腎機能,電解質異常なし
cCa 11.2(↑) IP 2.3(↓) intact-PTH 136(↑) Whole-PTH 95.7(↑)
【超音波所見】
甲状腺底面に副甲状腺を思わせる超音波所見は認められなかった.一方,B-mode断層像で甲状腺左葉前面に接して扁平な被膜で覆われた低エコー領域が存在し,power Dopplerで同部に血流を認めた.立体構造を把握するため施行した三次元超音波法ではC-plainで長径16mm楕円形の低エコー領域として甲状腺左葉前面に描出された(Figer1).
【MIBIシンチ】
早期像で甲状腺に正常な集積がみられ,後期像では甲状腺左葉下部に結節上の集積残存が認められた.異所性副甲状腺は認めなかった.
【まとめ】
左鼻翼,左上口唇に紅色の疱疹は単純疱疹でバルトレックスとアラセナで軽快した.8年前に尿管結石,1年前に胸椎圧迫骨折をきたしている原発性副甲状腺機能亢進症の症例で,血清Ca高値,P低値で副甲状腺ホルモンはintact-PTH,whole PTHともに高値を呈していた.比較的経過の長い未治療の原発性副甲状腺機能亢進症であり,腫大した副甲状腺腺腫の存在が想定され副甲状腺腺腫の存在診断のため超音波検査とMIBIシンチが施行された.超音波検査で副甲状腺腺腫は通常甲状腺底面に被膜を共有した扁平な楕円形を呈する低エコー領域として描出される.本例では愕下腺から鎖骨下まで副甲状腺を思わせる超音波像は認められず,MIBIシンチ所見との比較検討を行った.その結果甲状腺左葉前面の低エコー領域が唯一の有所見と考えられた.立体像を把握するため施行した三次元超音波法によるC-plain像とMIBIシンチの集積残存部位は一致しており同部が副甲状腺腺腫と診断され,手術のため外科紹介となった.