Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 甲状腺
甲状腺一般示説1

(S769)

甲状腺濾胞型乳頭癌の検討

Ultrasonographic findings and diagnosis of the follicular variant of papillary thyroid carcinoma

檜垣 直幸1, 村上 司1, 中村 友彦1, 西嶋 由衣1, 野口 仁志1, 内野 眞也2, 山下 裕人3, 野口 志郎2

Naoyuki HIGAKI1, Tsukasa MURAKAMI1, Tomohiko NAKAMURA1, Yui NISHIJIMA1, Hitoshi NOGUCHI1, Shinya UCHINO2, Hiroto YAMASHITA3, Shiro NOGUCHI2

1野口病院内科, 2野口病院外科, 3野口病院病理

1Department of Internal Medicine, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 2Department of Surgery, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 3Department of Pathology, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation

キーワード :

背景と目的】
甲状腺濾胞型乳頭癌はそれらを構成する腫瘍細胞は乳頭癌の特徴を示すが,乳頭状構造がみられず,濾胞状構造のみからなる甲状腺乳頭癌の亜型である.その超音波所見は良性結節に類似することも多く,超音波検査のみでは診断が困難なことがある.今回当院で経験した甲状腺濾胞型乳頭癌症例ついて検討を行った.
【対象と方法】
2009年1月から2012年12月までの期間中,当院で手術療法が施行された甲状腺濾胞型乳頭癌症例28例を対象とし,それらの超音波所見,臨床像についてレトロスペクティブに検討を行った.
【結果】
対象の年齢中央値は61歳(26〜78歳),男性3例,女性25例であった.腫瘍長径中央値は13mm(7〜60mm)であった.術前超音波検査の診断は通常型乳頭癌が疑われた症例が12例(42.9%),良性結節が疑われた症例が12例(42.9%),石灰化のみが3例(10.7%)びまん性硬化型乳頭癌が疑われた症例が1例(3.6%)であった.良性結節が疑われた12例のうち6例は濾胞性腫瘍,他6例は腺腫様結節が疑われていた.それらのうち9例は細胞診で悪性,悪性疑いの所見がみられ手術療法が施行され,2例は他結節の手術療法後に診断された.残りの1例は,細胞診は良性であったが濾胞性腫瘍として手術療法が施行されていた.石灰化のみが描出された症例は全例細胞診で悪性所見が確認され手術慮法が施行されていた.びまん性硬化型乳頭癌が疑われた症例は慢性甲状腺炎を合併しており,超音波検査では微細高エコーの多発所見しか描出されず結節としての評価は困難であったが,細胞診で悪性と診断され手術が施行されていた.腺外浸潤についてはpEx0が20例(71.4%)と最も多く,pEx1が5例(17.9%),pEx2が3例(10.7%)であったが,術前に良性結節が疑われた11例,石灰化のみが観察された3例はいずれもpEx0であった.肺転移がみられた症例は1例のみであり,腫瘍径は60mm,腺内多発転移がみられ,術前の超音波検査で両側頚部リンパ節転移も観察されていた.
【結語】
甲状腺濾胞型乳頭癌は超音波検査で良性結節様を呈する多いことを念頭に置き診療にあたる必要があると考えられた.