Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 乳腺
症例検討P/その他

(S765)

乳腺細胞診における超音波エラストグラフィの有効性

Usefulness of elastography for aspiration biopsy cytology with breast lesion

鈴木 周平

Shuhei SUZUKI

日本大学医学部乳腺内分泌外科

Division of Breast and Endocrine Surgery, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【背景】
乳腺超音波においてエラストグラフィが開発されたことにより,従来の方法では得られなかった腫瘤の硬さという情報を得ることができるようになった.腫瘍の質的診断における新たな指標として期待されているが,画像を描出する方法が用手的なため変動が大きく再現性に乏しいといった問題点も指摘されている.その為,より定量的な指標としてFLR(Fat Lesion Ratio)を用いた測定法が使用されるようになってきている.
【目的】
乳腺腫瘤に超音波エラストグラフィを施行し,その判定結果によりFLRが生検におけるデバイス選択の決定因子に成り得るかを検討した.
【対象】
2012年1月から2012年12月までに当院で腫瘤性病変を認め穿刺吸引細胞診を施行した66例を対象とした.
【方法】
乳腺腫瘤に対し超音波エラストグラフィを施行しFLRを測定した.FLRは脂肪のひずみ平均を腫瘤部位(ROI)のひずみ平均で割った比として算出した.Cut off値は5.0とし,5.0以上をA群,5.0未満をB群とした.両群において穿刺細胞診で十分な細胞成分を得られ診断が可能であった割合を算出し検討を行った.統計学的検定はχ2乗検定を用い,p<0.05を有意差ありと判定した.
【結果】
A群においては診断可能12例(classI:0例,Ⅱ:7例,Ⅲ:5例,Ⅳ:0例,Ⅴ:0例)検体不適は4例であった.B群では診断可能であったのが31例(class I:0例,Ⅱ:25例,Ⅲ:5例,Ⅳ:0例,Ⅴ:1例),検体不適は19例であった.両群を比較したところ有意な検体不適率の差は認めなかった.尚診断可能であった症例のうちclassⅢ以上はA群で41.6%,B群19.3%であった.
【結語】
FLRにおいて高値を示す症例でも穿刺吸引細胞診の検体不適率は変わらず,また悪性を疑う比率は高率であった.乳腺超音波エラストグラフィは単独で病変の良悪性を診断することは難しいと報告されており,補助診断としての位置づけであるが,本研究の結果からFLR高値であっても細胞診の適応を狭めるものではないと考えられた.