Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 乳腺
症例検討P/その他

(S764)

超音波検査で治癒経過を追うことができた乳房結核の一例

A cace of mammary tubeulosis

俵矢 香苗1, 渡邊 透1, 谷 一朗4, 柳本 邦雄2, 坂本 恵美子3, 石井 礼子3, 苅部 裕子3, 鈴木 浩3

Kanae TAWARAYA1, Toru WATANABE1, Ichiro TANI4, Kunio YANAGIMOTO2, Emiko SAKAMOTO3, Reiko ISHII3, Yuko KARIBE3, Hiroshi SUZUKI3

1横浜栄共済病院外科, 2横浜栄共済病院病理検査科, 3横浜栄共済病院生理検査部, 4横浜栄共済病院放射線科

1Department of Surgery, Yokohama Sakae Kyosai Hospital, 2Department of pathology, Yokohama Sakae Kyosai Hospital, 3Department of physical Labolatory, Yokohama Sakae Kyosai Hospital, 4Department of Radiology, Yokohama Sakae Kyosai Hospital

キーワード :

【症例】
81歳女性
【はじめに】
乳房結核は比較的まれな疾患である.今回われわれは超音波ガイド下吸引式針生検(マンモトーム)にて診断し,超音波検査で治癒経過を終えた一例を経験したので報告する.
【症例】
81歳女性.2ヶ月前より左乳房腫瘤を自覚していた.初診時左乳房外側上部に長径3cmの腫瘤を触知した.皮膚発赤や浮腫は認めなかった.マンモグラフィでは左乳房に局所性非対称性陰影を認めた.超音波検査では同部位に境界不明瞭な低エコー域を認めた.低エコー領域の周囲組織のエコーレベルは高く,周囲組織の浮腫の存在を疑わせた.浸潤性小葉がん,炎症を疑った.エコーガイド下吸引式針生検を施行,肉芽腫を伴う炎症所見を認めた.生検標本での抗酸菌染色では陽性所見は認めなかず,喀痰検査からも結核菌は同定されなかった.また胸部CT検査でも肺結核を示唆する所見は認めなかった.クオンティフェロン検査を施行,陽性所見を得た.患者の年齢を考えると必ずしも現在の結核感染とは言えないが,組織所見で肉芽腫性炎症を認め,肺結核を示唆する所見もないことから乳腺結核の可能性が高いと判断した.イソニアジド,エタンブトール,リファンピシンの三剤併用療法を開始した.2ヶ月で腫瘤は縮小し始め5ヶ月でほぼ消失した.抗結核療法は8か月間続行し終了した.現在初診から12ヶ月経過しているが再燃はない.
【まとめ】
本邦報告例をみると切除生検が行われている症例が多いが,吸引式針生検で診断に十分な組織量を採取できれば,抗結核療法のみで経過をみてもよいと考える.