長島 沙樹, 櫻井 健一, 鈴木 周平, 原 由起子, 榎本 克久, 天野 定雄, 越永 従道

Saki NAGASHIMA, Kenichi SAKURAI, Shuhei SUZUKI, Yukiko HARA, Katsuhisa ENOMOTO, Sadao AMANO, Tsugumichi KOSHINAGA

日本大学医学部板橋病院乳腺内分泌外科

Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery, Nihon University School of Medicine

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症例は58歳女性．約1ヶ月前に右乳房腫瘤を自覚し当科を初診した．触診で右乳房A領域に可動性の乏しい15mm大の腫瘤を触知した．マンモグラフィー検査では，右MI領域に石灰化を伴った不整形腫瘤を認めカテゴリー4と診断された．超音波検査では，右乳房A領域に19×13×13mmの，嚢胞成分と充実成分が混在する腫瘤として描出された．造影MRI検査で同部位に直径19mmの造影結節を認め，悪性が疑われた．超音波ガイド下マンモトーム生検で悪性葉状腫瘍の診断であったため，全身麻酔下に断端1.5cmを確保し腫瘤摘出術を施行した．最終病理診断では悪性葉状腫瘍に近接して非浸潤性乳管癌が併存していた．断端は陰性であり，両者の連続性は明らかではなかった．葉状腫瘍と乳癌の合併は極めて稀であり，若干の文献的考察を加え報告する．