Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S760)

血液型不適合妊娠管理における胎児中大脳動脈収縮期最高血流速度測定の有用性

Measurement of fetal middle cerebral artery peak systolic velocity in cases of blood group incompatibility

佐道 俊幸1, 大野木 輝1, 小池 奈月2, 植栗 千陽2

Toshiyuki SADO1, Akira ONOGI1, Natuki KOIKE2, Chiharu UEKURI2

1大阪暁明館病院産婦人科, 2奈良県立医科大学産婦人科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Osaka Gyoumeikan Hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University

キーワード :

【目的】
近年,胎児中大脳動脈収縮期最高血流速度(MCA-PSV)計測値が胎児貧血の評価法として臨床応用されており,有用性についての報告もなされてきている.しかし本邦では詳細に検討された報告は少ない.今回,我々の施設で経験した血液型不適合妊娠症例においてMCA-PSV測定の胎児貧血の評価法としての有用性につき検討した.
【方法】
平成16年1月〜25年3月までに我々の施設で管理した血液型不適合妊娠の内,妊娠経過中に抗体価が32倍以上となり,児の血液型から血液型不適合であったことが確認された17例を対象とした.対象の内訳は抗E抗体13例,抗D抗体3例,抗M抗体1例であった.これらの症例において胎児貧血に対するMCA-PSV計測値の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率をそれぞれ算定した.尚,MCA-PSV≧1.5MoMを中等度〜高度な胎児貧血を疑う値と設定し(Mariら),妊娠経過中に一度でもMCA-PSVが1.5MoM以上を示した症例はMCA-PSV≧1.5MoM群とした.また胎児貧血は出生時の臍帯血Hb<8.0g/dlで診断した.測定機器は日立ALOKAα-10あるいはα-8を使用した.
【成績】
妊娠経過中にMCA-PSV≧1.5MoMとなった症例は4例(抗D抗体2例,抗E抗体2例)あり,その内3例が胎児貧血(抗D抗体2例,抗E抗体1例)を呈した.一方,MCA-PSV<1.5MoMで推移した症例は13例あり,全例胎児貧血は認めなかった.胎児貧血推定に対するMCA-PSV計測値の感度100%,特異度92.9%,陽性的中率75.0%,陰性的中率100%であった.
【結論】
血液型不適合妊娠症例においてMCA-PSV計測は中等度〜高度の胎児貧血を推定する方法として有用であると思われた.特に胎児貧血を否定する診断法としては優れており,今後侵襲的な検査である臍帯穿刺の回数を減らせる可能性があると考える.