Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S759)

Dual Doppler検査が胎児不整脈診断に有効であった一例

Diagnostic workup in fetal arrythmia, a case diagnosed with Dual Doppler

近藤 朱音, 前田 和寿

Akane KONDO, Kazuhisa MAEDA

四国こどもとおとなの医療センター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Shikoku Medical Center for Childrens and Adults

キーワード :

【背景】
胎児頻脈性不整脈は心不全の原因になるのみならず,妊娠末期では分娩時のモニターができない等の問題がある.早産の時期にあっては胎児治療が推奨されているが妊娠末期での胎児治療の必要性についてはその方針に一定した見解はない.今回我々は胎児上室性頻拍のタイプ診断が困難であった症例を経験したので報告する.
【症例】
38歳,1経妊1経産.近医にて妊婦健診を受けており問題なく経過していたが,妊娠34週4日の健診時に胎児不整脈を認めたため当院紹介受診となった.超音波断層法にて胎児心奇形や心不全兆候はなく,間欠的に発作性の頻脈が出現・消失を繰り返しておりモニタリング及び精査目的に入院した.小児循環器科にて上室性期外収縮short-runと診断されたため,十分な説明の上ジゴシンの内服を開始したところ,母体に頭痛・めまいなどの副作用が出現したため中止した.この時の治療では不整脈の改善を認めなかった.妊娠週数と共に不整脈の頻度は増しPACから2:1〜4:1の心房粗動となる発作が認められた.妊娠36週3日,心房収縮数230,心室収縮数50〜60の胎児心房細動が50%以上持続したため,non-reassuring fetal statusの診断で帝王切開術を行い2974g Apg7/9にて出生となった.出生後,ATP投与は無効であったが,フレカイニド1.7mg/kgにて洞調律に戻り心拍数は120〜130/minで,散発性の期外収縮を認めたものの日齢7には不整脈はしていた.出生後の超音波検査においても心構造異常および胎児水腫は認めなかった.
【結語】
胎児不整脈は治療を要しないことも多いが,胎児水腫や胎児死亡を引き起こすことがあるため正確な診断や管理が必要となる.本症例では肝静脈と下行大動脈を同時に観察できるDual Dopplerを用いることでA波,V波の関係を簡便に描出でき有用な検査方法であったと思われた.