Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S758)

当科で管理した胎児仙尾骨部奇形腫の2例

Two cases of fetal sacrococcygeal teratoma

宮村 拓人, 吉田 敦, 大橋 和明, 阿部 修平, 松本 加奈子, 三浦 清徳, 増﨑 英明

Takuto MIYAMURA, Atsushi YOSHIDA, Kazuaki OHASHI, Syuhei ABE, Kanako MATSUMOTO, Kiyonori MIURA, Hideaki MASUZAKI

長崎大学病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Nagasaki University Hospital

キーワード :

【はじめに】
胎児仙尾骨部奇形腫は胎児期に胚細胞が仙骨部へ迷入して生じる3胚葉成分を含む腫瘍である.出生前に診断された胎児仙尾骨部奇形腫の死亡率は約50%とされ,高拍出性心不全から胎児水腫に至る.今回,一方は外方発育型で,一方は腹腔内を占拠し外方まで発育していたが,それぞれ適切な時期に児を娩出でき,腫瘍を摘出でき児の良好な予後を得られた胎児仙尾骨部奇形腫の2例を経験したので報告する.
【症例】
①29歳の初産婦.初期から当科で妊娠管理していた.妊娠25週5日に超音波検査で胎児の下腹部から臀部にかけて腫瘤像を認め,胎児仙尾骨部奇形腫と診断された.腫瘍は体外から腹腔内を占拠し,腹腔内の腫瘍は大部分が充実部であった.腫瘍径は26週時には13cmであったが徐々に増大し,妊娠33週4日には17cmになった.妊娠35週頃より胎児心拡大の増強と腹水増加を認め,胎児心不全と診断し,妊娠35週3日に帝王切開術を施行した.出生体重3,148g,Apgar score8点/9点(1分後/5分後)の良好な状態で男児を娩出した.児は出生当日に腫瘍摘出術が施行され,腫瘍は一期的に完全に摘出できた.術後経過は良好で,日齢42に母児共に退院した.
②36歳の1回経産婦.初期より近医で妊娠管理を受けていたが,妊娠20週の妊婦健診時に超音波検査で胎児腹部腫瘤を指摘された.妊娠21週に当科を紹介され,胎児仙尾骨部奇形腫と診断された.腫瘍は胎児の臀部より体外に発育する長径10cmの嚢胞性腫瘤で,腫瘤内の血流は乏しく,充実部はほとんどなかった.妊娠28週より切迫早産のため入院管理していたが,妊娠31週より腫瘍の充実成分の増加と羊水過多が顕著になり,胎児MCA-PSVも上昇した.胎児心拡大も出現したため,妊娠31週6日に帝王切開術を施行した.出生体重3,250g,Apgar score6/9点(1分後/5分後)の女児を娩出した.児は出生当日に腫瘍摘出術が施行された.術後経過は良好で,日齢47に退院した.
【結語】
出生前に診断され,超音波検査が分娩時期の決定に有用であった胎児仙尾骨部奇形腫の2例について報告する.