Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
産科(その他)

(S755)

携帯型超音波診断装置の産科領域における使用経験

The usefulness of a handheld ultrasound system in obstetrics

澁谷 剛志, 吉田 純, 曽山 浩明, 笹 秀典, 松浦 寛子, 古谷 健一

Takashi SIBUTANI, Atsushi YOSHIDA, Hiroaki SOYAMA, Hidenori SASA, Hiroko MATSUURA, Kennichi FURUYA

防衛医科大学校産科婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, National Defense Medical College

キーワード :

【目的】
近年,携帯型の超音波画像診断装置が発売された.本体の大きさが11.5cm×6.8cmという超小型な超音波画像診断装置であり,携帯性に優れており,様々な場所で使用が可能である.今回われわれは,この携帯型超音波画像診断装置を産科領域で使用する経験を得たので報告する.
【方法】
使用した装置は,コニカミノルタ社SONIMAGE P3である.本体には2.7インチカラーLCD(タッチ式ディスプレイ)が装備されており,プローブユニットとケーブルで連結して使用する.プローブユニットにはトランスディーサユニットを装着し,いずれもバッテリ駆動で使用可能である.今回使用したトランスデューサは3-5MHzメカニカルセクタ式であり,産科領域での比較的長い深達度を要する観察範囲にも対応可能である.今回使用したトランスディーサユニットは経腹走査用のものである.今回,以下のような場面での使用を経験した.
【症例1】
双胎妊娠症例,両児側ともに比較的羊水量が多く,観察毎に胎位が異なっていたが,妊娠36週で帝王切開施行直前に両児の胎位を確認したところ,ともに頭位となっていた.ドプラ胎児心拍計では胎児心拍数の確認がしづらかったが,本機を使用することにより容易に確認が可能であった.本機でMモードおよびドプラモードでの観察も可能であるため,胎児心拍動部位を確認できるのみならず,直接心拍数を算出することもでき,術直前の短時間でのチェックも比較的容易であった.術後弛緩出血のため外子宮口よりメトロイリンテル100mLを挿入し圧迫止血をおこなったが,本機での観察によりメトロイリンテルの位置の確認が可能であり,子宮内腔に大量の出血が貯留している 所見もないことが観察できた.
【症例2】
前置胎盤,妊娠34週でのMRIの所見では胎盤は後壁から左側壁に付着していると考えられたが,妊娠37週の帝王切開試行時に子宮切開位置決定のため本機を用いて術中超音波検査を実施した.本機は本体・プローブユニット・トランスデューサともに非常に小型であるため,装置を一括して透明滅菌バッグ内に入れて使用することが可能であった.トランスデューサのみならずディスプレイも手元に置き観察できるため,術中の胎盤位置観察と子宮切開部決定に有用であった.
【考察】
本機の画質にはまだ改善の余地はあるとも思われるが,使用方法によっては産科領域でも有用なツールとなる可能性があると考えられた.