Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
異常妊娠/婦人科疾患

(S752)

転移性子宮癌の4例

Four cases of the metastatic uterine carcinoma

鎌田 英男, 梁 栄治, 瀬戸 理玄, 櫻井 理奈, 松本 泰弘, 木戸 浩一郎, 綾部 琢哉

Hideo KAMATA, Eiji RYO, Michiharu SETO, Rina SAKURAI, Yasuhiro MATSUMOTO, Koichiro KIDO, Takuya AYABE

帝京大学医学部付属病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Teikyo University

キーワード :

「はじめに」転移性子宮癌は稀な疾患であり,超音波画像診断の特徴についての報告は乏しい.転移性子宮癌の4例を経験したので超音波所見を中心に報告する.
「症例報告」症例1 63歳,閉経50歳.2年前に肝細胞癌にて手術を施行.38℃台の発熱,CTで子宮腫大を認め当科初診.経腟超音波断層法にて,子宮体部筋層全体がびまん性,やや高輝度に腫大していた(図1).子宮頸部,内膜細胞診はclassII.発熱が持続し子宮が熱源である可能性を考え摘出術を施行.病理検査で肝細胞癌の子宮転移と診断された.術後は速やかに解熱したが,98日目にDICで死亡した.
【症例2】
51歳0回経産,左乳癌にて38歳時に乳房全切除を施行.8年後に肝転移,鎖骨上リンパ節転移を認め化学療法施行し,3年後アロマターゼ阻害剤の併用投与を開始した.2年後帯下異常あり当科受診.内膜細胞診classⅤであり,内膜組織診にて低分化腺癌,乳癌の転移が疑われた.術前の超音波所見では,子宮体部筋層全体がびまん性,やや高輝度に腫大していた.手術療法を行い病理検査で子宮筋層および右卵巣に乳癌からの転移を疑う所見を認めた.現在経過観察中.
【症例3】
73歳0回経産,咳,痰,嗄声が出現し耳鼻咽喉科を受診.声門上に腫瘍あり,生検にて悪性リンパ腫であった.血液内科に転科,CTによる全身検索で子宮腫大を認め当科受診.経腟超音波断層法にて子宮体部が腫大し,やや低輝度な筋層に高輝度なエコーが散在し悪性リンパ腫の転移を疑った.子宮頸部・内膜細胞診はclassⅡ.悪性リンパ腫の化学療法に反応して子宮は縮小したため,悪性リンパ腫の転移と診断した.他臓器に転移を認め2年後死亡.
【症例4】
65歳2回経産,マントル細胞リンパ腫のため58歳時に当院で化学療法を施行.7年後,化学療法が奏功しない状態となった.病変の進行に伴ってCT上子宮が増大し,右下腹部痛を認め当科受診.経腟超音波断層法にて子宮筋層が肥厚し,やや低輝度な筋層に高輝度なエコーが不均一に散在し,リンパ腫の転移と診断した.2か月後敗血症のため死亡.
「考察」他臓器癌の子宮への転移は,筋層を標的とすることが多く,子宮頸部体部の細胞診は陰性であることが多い.我々の症例でも細胞診陽性となったものは1例だけであった.従って,診断には画像診断の役割が大きい.今回の4例はすべて子宮体部が全体的に腫大し,高輝度なエコー領域を含むことが共通しており,転移性子宮腫瘍の特徴である可能性が考えられた.