Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道・膵

(S743)

高周波プローブと造影を併用することが診断に有用であった胆嚢腺扁平上皮癌の一例

A case of adenosquamous gallbladder carcinoma using high frequency probe and contrast-ultrasonography

只野 薫1, 是永 圭子2, 今村 雅俊2, 北原 沙衣子1, 酒井 あずさ1, 伊藤 里美1, 澤部 祥子1, 永井 信浩1, 當銘 良也1, 石田 剛1

Kaoru TADANO1, Keiko KORENAGA2, Masatoshi IMAMURA2, Saeko KITAHARA1, Azusa SAKAI1, Satomi ITOU1, Shyouko SAWABE1, Nobuhiro NAGAI1, Yoshiya TOUME1, Tsuyoshi ISHIDA1

1国立国際医療研究センター国府台病院中央検査部, 2国立国際医療研究センター国府台病院消化器・肝臓内科

1Clinical Examination Laboratory, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine, 2Gastroenterology, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine

キーワード :

【はじめに】
高周波プローブと造影を併用することが診断に有用であった胆嚢腺扁平上皮癌の一例を経験したので報告する.
【症例】
80歳代,女性.糖尿病の加療中施行した腹部超音波検査にて,胆嚢隆起性病変を偶然認めた.
【超音波検査所見】
初回の超音波検査で,胆嚢体部に19×5mm大の広基性扁平な隆起性病変を認めた.高周波プローブで隆起性病変を詳細に観察したところ,内部エコーは不均一,表面不整,カラードプラにて明らかな血流シグナルはなかった.また,胆嚢全周性に表面不整な壁肥厚が広がっており,IIb+IIa型の胆嚢癌疑いと診断した.CT検査では染影効果を有する全周性の壁肥厚があるも,壁の不整や血行動態の詳細は判らず,癌の確診に至らなかったことから慢性胆嚢炎との診断であった.2ヶ月後の超音波検査で,隆起は19×9mm大と増大.造影超音波を施行したところ,隆起にwash outの早い染影効果を認め,癌を支持する所見だった.初回から4ヶ月後の超音波検査で,隆起は24×14mm大と明らかに増大し,再び行った造影超音波で隆起性病変内に樹枝状の腫瘍血管を認めた.また,胆嚢周囲のリンパ節腫大も伴い,進行癌の所見を呈していた.術前に血管造影検査が施行されたが,腫瘍血管や染影効果は不明瞭であった.高齢を理由に手術を拒否され経過観察としていたが,腫瘍熱と考えられる発熱も続いていたため,拡大胆嚢摘出術が施行された.
【病理組織学的所見】
癌は胆嚢全体に存在し,体部の結節部には低分化型扁平上皮癌が見られ,結節以外の胆嚢粘膜内には高分化管状腺癌が広汎に認められた.以上より腺扁平上皮癌と診断された.
【考察】
超音波検査にて高周波プローブと造影を併用することで,造影CTで確定診断に至らなかった扁平隆起主体の胆嚢癌を比較的早い段階で診断し得た.胆嚢腺扁平上皮癌は胆嚢癌のなかでも比較的稀で,進展は急速であるとされる.複数回にわたる超音波検査による隆起の急速な増大は,その臨床的特徴をとらえていたと考える.