今中 和穗¹, 榊原 充¹, 木村 治紀¹, 三栖 弘三², 宮﨑 さや子², 松野 徳視², 竹中 明美³, 富田 裕彦³, 丸橋 繁⁴, 片山 和宏¹

Kazuho IMANAKA¹, Mitsuru SAKAKIBARA¹, Haruki KIMURA¹, Kouzou MISU², Sayako MIYAZAKI², Noritoshi MATSUNO², Akemi TAKENAKA³, Yasuhiko TOMITA³, Shigeru MARUBASHI⁴, Kazuhiro KATAYAMA¹

¹大阪府立成人病センター肝胆膵内科, ²大阪府立成人病センター臨床検査科, ³大阪府立成人病センター病理細胞診科, ⁴大阪府立成人病センター消化器外科

¹Department of Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases, ²Division of Clinical Laboratory, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases, ³Department of Pathology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases, ⁴Department of Surgery, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases

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肝血管筋脂肪腫は一般的には良性腫瘍であるが画像診断では肝細胞癌と鑑別困難なこともしばしばある．肝腫瘍生検などで確定診断後も長期間経過観察において次第に増大することも見られる．今回当科にて長期経過観察し得た肝血管筋脂肪腫の三例を経験し得たので報告する．
【症例1】
40歳代　女性
【主訴】
肝腫瘤
【家族歴，既往歴】
特記すべきことなし
【飲酒歴】
焼酎270ml/日
【喫煙歴】
なし
【現病歴】
肩こりに対しロキソニン，テルネリンをほぼ常用，不眠症に対しデパス，マイスリーを屯用している．2009年7月に検診にて初めて腹部超音波検査を受け，肝S5に4cmの腫瘤を認められた．他院にて精査を受けたが診断が付かず，精査加療目的で当院紹介受診した．当院にて腹部造影超音波検査，腹部造影CT検査，腹部造影MR検査，腹部血管造影検査と各造影画像検査の末，超音波ガイド下肝腫瘍生検にて肝血管筋腫と診断し以後外来にて主に腹部超音波検査にて経過観察していたが，緩徐に増大し2012年8月に6cmとなり肝表面でもあり本人とも相談の末，当院外科にて腹腔鏡下肝切除術を思考した．術後病理診断の結果は血管筋脂肪腫であった．
【症例2】
50歳代　女性
【主訴】
肝腫瘤
【家族歴，既往歴】
特記すべきことなし
【飲酒歴】
焼酎270ml/日
【喫煙歴】
なし
【現病歴】
2005年3月に人間ドックの腹部超音波検査にて，肝S8に1.1cmの腫瘤を認められ肝血管腫と診断され経過観察されていたが，緩徐に増大し2007年3月に3.5cmとなり，精査加療目的で当院紹介受診した．当院にて腹部造影超音波検査，腹部造影CT検査，腹部造影MR検査，腹部血管造影検査と各造影画像検査の末，超音波ガイド下肝腫瘍生検にて肝血管筋脂肪腫と診断し以後外来にて経過観察していたが，緩徐に増大し2013年5月において4.5cmであるが，当科外来にて経過観察中である．
【症例3】
60歳代　女性
【主訴】
肝腫瘤
【家族歴，既往歴】
特記すべきことなし
【飲酒歴】
なし
【現病歴】
2007年5月に腹部CT検査にて，肝S4に4cmの腫瘤を認められ，精査加療目的で当院紹介受診した．当院にて各造影画像検査の末，超音波ガイド下肝腫瘍生検にて肝血管筋脂肪腫と診断し以後外来にて経過観察しており2013年9月において大きさに変化は見られず当科外来にて経過観察中である．
【まとめ】
肝血管筋脂肪腫は良性腫瘍であるが，長期間経過観察中には緩徐な増大が見られることもあり，慎重な経過観察が必要である．