Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 消化器
肝臓1

(S730)

人間ドックでの腹部超音波検査における肝腫瘤性病変の頻度と脂肪肝の影響

Effect of fatty liver background in detecting liver tumors during comprehensive health checkup

山敷 宣代1, 2, 茅嶋 恭代3, 塚越 由佳2, 天野 隆弘2

Noriyo YAMASHIKI1, 2, Yasuyo KAYASHIMA3, Yuka TSUKAKOSHI2, Takahiro AMANO2

1日本バプテスト病院消化器内科, 2山王メディカルセンター予防医学センター, 3山王メディカルセンター放射線科

1Department of Gastroenterology, Japan Baptist Hospital, 2Comprehensive Medical Care Center, Sanno Medical Center, 3Department of Radiology, Sanno Medical Center

キーワード :

【背景】
腹部超音波検査は低侵襲で腹部臓器を広くスクリーニングでき,また繰り返し人間ドック受診される場合には新たな腫瘍性病変の発見にもつながる.脂肪肝は人間ドック健診における腹部超音波の所見として最も頻度が高いが,脂肪肝例では非脂肪肝例と比較し肝腫瘤性病変の描出能が異なると思われる.そこで1施設1年間の受診者における肝腫瘤性病変所見について脂肪肝の有無に着目して検討した.
【方法】
2012年4月から2013年3月までの1年間に山王メディカルセンター人間ドックを受診し腹部超音波健診を受けた17146人中,肝腫瘤性病変を認めた症例について検討した.
【結果】
受診者の平均年齢は45.5±10.7歳,男性47.4%であった.脂肪肝を4223人(24.7%)に認め,男女差はなかった.肝血管腫は1682人(6.9%)に認めたが,非脂肪肝例では脂肪肝例に比較し有意に血管腫指摘頻度が高かった(7.9%vs 2.7%,p<0.001).肝腫瘤は49人(0.3%,年齢49(29 68)歳,男性27人)で,脂肪肝を認めたのはうち37人(男性23人女性14人)であった.非脂肪肝例では脂肪肝例に比較し有意に肝腫瘤の頻度が低かった(0.1%vs 0.9%,p<0.001).精査結果不明の19人を除いた30人(61%)について,画像所見を詳細に検討した.脂肪肝例に認めた肝腫瘤(22人)のうち20人においては,low echoic massとしての指摘であった.造影CTもしくはMRI検査診断は肝血管腫(10人),腫瘍なし(6),不明(4),嚢胞(2)であった.非脂肪肝例に認めた肝腫瘤(8人)のエコー所見は様々で,造影CTもしくはMRI検査診断は肝血管腫(4人),FNH(1人),complicated cyst(1人),腫瘤なし(2人)であった.今回の検討では,肝悪性腫瘍の指摘は無かった.
【結語】
人間ドックにおける腹部超音波検査では,脂肪肝例において非脂肪肝例と比して肝腫瘤の指摘頻度が高く,肝血管腫の指摘頻度が低かった.二次検診診断は肝血管腫が最も多かったことから,背景に脂肪肝を伴った症例の場合,肝血管腫における典型的な所見が得られず精査が必要となることが示唆された.