Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例報告3

(S723)

胎児期よりフォローした新生児型Marfan症候群の2例

Experience of the Two neonatal Marfan syndrome

寺澤 厚志1, 面家 健太郎1, 平田 和裕1, 桑原 秀次1, 後藤 浩子1, 桑原 直樹1, 桑原 尚志1, 中山 裕樹2, 岩田 祐輔2, 竹内 敬昌2

Atsushi TERAZAWA1, Kentaro OMOYA1, Kazuhiro HIRATA1, Shuji KUWABARA1, Hiroko GOTO1, Naoki KUWABARA1, Takashi KUWAHARA1, Yuki NAKAYAMA2, Yusuke IWATA2, Takamasa TAKEUCHI2

1岐阜県総合医療センター小児循環器内科, 2岐阜県総合医療センター小児心臓外科

1Pediatric Cardiology, Gifu Prefectural General Medical Center, 2Pediatric Cardiosurgery, Gifu Prefectural General Medical Center

キーワード :

新生児型Marfan症候群はMarfan症候群の中でも,新生児期に診断され,最重症の経過をたどるといわれる.
我々は胎児期からフォローした新生児型Marfan症候群2例を経験したため,文献的考察を含め報告する.
【症例1】
妊娠33週より胎児巨大化,心拡大あり,TR severe,MR severe指摘され,38週で出生,4812g.筋緊張低下,チアノーゼのため挿管され当科入院,外表奇形よりMarfan症候群を疑った(後に遺伝子検査で確定).エコーではTR severe,MR severe, PR mild認めており,動脈管維持のためプロスタグランディン製剤(PG)を使用し,心不全コントロールを行った.その後PG減量中止したが,肺血流維持が可能であった.日齢17よりロサルタン導入し漸増した.右房拡大に伴う右気管支圧迫あり,人工呼吸器離脱困難であったため生後2ヶ月で気管切開施行した.心不全治療を継続していたが,4ヶ月時に感冒を契機に心不全増悪し,カテコラミン等使用したが心不全コントロールできず,心房頻拍も認め,6ヶ月時死亡した.
【症例2】
妊娠中期に軽度腎盂拡大と左手異常を指摘,34週に心拡大,TR moderate,PR mild,MR moderate,AR moderate認め,大動脈弁・肺動脈弁輪の拡張を認めるため,当科紹介され,新生児Marfan症候群を疑った.40週に予定帝王切開にて出生,3301g.筋緊張低下,チアノーゼのため挿管され当科入院となる.外表奇形より新生児Marfan症候群を疑った.エコーではTR severe,PR mild,MR severe,AR moderate認めた.利尿剤を使用しながら,心不全管理を行い,経管哺乳が確立した時点でロサルタンを開始する予定であった.心不全治療行うも,心房拡大による気管支圧迫のためか,無気肺を認めた.日齢14に腎前性腎不全となり,以後強心剤などへの反応も乏しく,呼吸不全となり,日齢14で死亡した.
【まとめ】
弁逆流の程度が予後を左右すると言われるが,2症例とも重度な房室弁および半月弁逆流を認めた.小児,成人型Marfan症候群に有効性が期待されるロサルタンを症例1には導入したが,症状の改善までには至らなかった.また症例2は強心剤にも抵抗性の低血圧であり,ロサルタン導入が行えなかった.新生児Marfan症候群は非常に重篤な疾患群であり,症例の蓄積が重要であると考え,報告する.