Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例報告3

(S721)

帝王切開術後感染性心内膜炎による心不全を呈した若年女性の一例

A case of heart failure due to infective endocarditis after cesarean section

山本 有季乃1, 荒木 みどり2, 堀井 和世1, 川上 千亜希1, 大野 孔文2, 藤村 光則2

Yukino YAMAMOTO1, Midori ARAKI2, Kazuyo HORII1, Chiaki KAWAKAMI1, Yoshifumi OONO2, Mitsunori FUJIMURA2

1高松市民病院検査技術科, 2高松市民病院循環器科

1Division of Medical Technology, Takamatsu Municipal Hospital, 2Division of Circulation, Takamatsu Municipal Hospital

キーワード :

【症例】
30歳代女性
【既往歴】
下垂体腺腫,不妊症(治療としてカベルゴリン内服歴なし)
【現病歴】
妊娠中期より下肢のむくみを自覚.破水後微弱陣痛による遷延分娩で帝王切開にて出産.産後安静時SpO2 91%と低酸素血症を認め,心雑音が聴取されたため循環器科に紹介された.
【現症】
身長165cm,体重53.6kg,血圧102/68mmHg,脈拍78/分・整,体温36.4℃,SpO2 95%(O2 1L/分),心尖部を最強点とするLevineⅢ/Ⅵの汎収縮期雑音を聴取.
【血液検査所見】
産後3日目:WBC 9.5×103/μl,BNP 92.3pg/ml 産後6日目:CRP 1.8mg/dl
【心電図所見】
洞調律,心拍数69/分
【胸部レントゲン所見】
CTR 54%
【経胸壁心エコー検査所見】
産後5日目:LADd 35mm,LVDd 54.9mm,EF 70.6%.僧帽弁後尖(P1-P2)の逸脱あり,高度僧帽弁逆流を認める.逆流jetは中隔側にやや偏位するものの全体に広がっている.僧帽弁前尖は弁尖・弁腹とも肥厚を認め,輝度はやや低い.疣贅や腱索断裂は認めず.E/A 1.5,TR-PG 27mmHg,IVC径7mm.肺高血圧は認めず.
【臨床経過】
産後8日目,14日目の血液培養は陰性.産後7日目に利尿剤内服開始後下肢浮腫は軽減し,低酸素血症の改善とBNP減少がみられた.第2子挙児希望があり,手術療法目的で他院心臓血管外科に紹介され,弁形成術となった.術中所見では後尖P2に3mm大の穿孔があり,同部位での肥厚・逸脱を認めた.前尖は正常形態であった.
【考察】
これまでに心雑音を指摘されたことがなく,帝王切開術後に心不全を呈しており急性に近い経過であると考えたが,血液培養は2回とも陰性,帝王切開術前後の経過で発熱はなく,心エコー検査で明らかな疣贅を認めなかった.第2子挙児希望あり,今後の妊娠・出産のため弁膜症による心不全は高リスクであり,弁形成術の適応と考えられた.術中所見で僧帽弁後尖の穿孔と逸脱を認め,感染性心内膜炎によるものと考えられた.