Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例報告2

(S720)

悪性腫瘍心筋転移の3例

3 case report of metastasis myocardial

井口 純子

Junko IGUCHI

信州大学医学部循環器内科学講座先端心臓血管病センター

Department of Cardiovascular Medicine, Sinshu University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
心臓腫瘍は画像診断技術の進歩によってその発見頻度は従来に比べ確実に増加している.しかし,転移性心臓腫瘍は無症状のまま経過することも多く,剖検上の発生頻度に比べると,生前の診断率は低い.今回,悪性腫瘍の心筋転移3例を経験したので報告する.
【症例1】
49歳女性.2007年に右乳癌に対し乳房切除し,2011年に多発肺転移,2012年に肝転移を認めた.経過観察中の造影CTにて左室内腫瘤を指摘され,心臓超音波検査にて,心筋組織と等輝度かつ境界不明瞭な腫瘍を認めた.
【症例2】
15歳男性.2012年11月中旬より頸部リンパ節腫脹・圧痛を認め,リンパ節生検にて悪性リンパ腫が疑われ,当院を受診した.心臓超音波検査にて左室内可動性腫瘤を認め,緊急で腫瘍摘出術を施行した.病理所見では,腫瘤の殆どは血栓であり,心筋付着部に悪性リンパ腫の組織を認めた.術後早期の心臓超音波検査では,腫瘤が付着していた同部位の心筋内に低エコー部位を認めたが,化学療法後に低エコー部位は消失した.
【症例3】
68歳男性.2013年9月検診のCT検査にてリンパ節腫脹を指摘され,リンパ節生検にて上縦隔腫瘍(肉腫)が疑われた.11月下旬,CTにて左室心筋内LDAと心尖部腫瘤像を新たに認め,心臓超音波検査を施行したところ,低輝度領域を認めた.
【考察】
心臓超音波検査は侵襲がなく繰り返し検査が可能であり,腫瘍性病変の経過観察には,非常に有用であると思われた.一方,初回の存在診断に関しては,心臓超音波検査のみでは見落としが危惧されるため,他の画像検査を参考にする必要があると思われた.