Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例報告1

(S717)

血栓や粘液腫と鑑別を要した右心系腫瘤の一例

A case of right heart masses which required discrimination from myxoma or thrombus

小川 晴美1, 松村 誠1, 数野 直美2, 中島 淑江1, 岡原 千鶴2, 山本 哲也2, 村松 俊裕1

Harumi OGAWA1, Makoto MATUMURA1, Naomi KAZUNO2, Yoshie NAGAJIMA1, Chizuru OKAHARA2, Tetsuya YAMAMOTO2, Toshihiro MURAMATU1

1埼玉医科大学国際医療センター心臓内科, 2埼玉医科大学国際医療センター中央検査部

1Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center, 2Central Laboratory, Saitama Medical University International Medical Center

キーワード :

症例は25歳男性.2013年8月ごろより左腰部・鼠径部の疼痛を自覚していた.2013年9月の検診で胸部XP上,肺野に多発性の腫瘤を認めた.他院で精査され,β-hCG,AFP異常高値を認めた.精巣に明らかな異常を認めず,性腺外胚細胞腫瘍を疑われた.また上大静脈・右房・右室・肺動脈に血栓を疑われ,当院へ転院された.当院の心エコーでは右房から右室・肺動脈にかけて連続する可動性に富んだ房状構造物を認めた.短軸像では右房と右室内を行き来する腫瘤を認めた.また右室内にも可動性のある腫瘤を認めた.付着部位は右房の上方と思われたが,上大静脈の観察は不良であった.下大静脈には明らかな異常は認めなかった.また右室内の腫瘤は三尖弁に付着しているようにみえた.右心系の拡大はなく,三尖弁に狭窄血流も認めなかった.下肢静脈エコーでは明らかな深部静脈血栓は認めなった.塞栓を生じた場合の致死率が高いと判断し,腫瘤摘出を行った.術中所見では上大動脈,右房,右室,肺動脈にかけて腫瘤を認めた.腫瘤はゼリー状房状からイソギンチャク状で巨大であり,SVCと三尖弁中隔尖に付着していた.病理診断は卵黄嚢腫と胎児性癌の混合性胚細胞腫瘍であった.現在,腫瘍に対して化学療法が行われ,腫瘍マーカーは低下傾向がみられている.血栓や粘液腫と鑑別を要した貴重な症例を経験したので報告する.