細谷 侑未¹, 斎藤 菜々子¹, 沼倉 陽子¹, 畑岡 麻子¹, 安田 真由美¹, 永井 知雄², 久留 秀樹², 東谷 卓美², 小西 崇夫², 田畑 博嗣²

Yumi HOSOTANI¹, Nanako SAITOU¹, Youko NUMAKURA¹, Asako HATAOKA¹, Mayumi YASUDA¹, Tomoo NAGAI², Hideki HISADOME², Takumi TOUYA², Takao KONISHI², Hirotsugu TABATA²

¹国家公務員共済組合連合会三宿病院臨床検査科, ²国家公務員共済組合連合会三宿病院循環器内科

¹Clinical Exam Department, Federation of National Public Service Personnel Mutual Aid Associations MISHUKU HOSPITAL, ²Cardiology, Federation of National Public Service Personnel Mutual Aid Associations MISHUKU HOSPITAL

キーワード :

【症例】
84歳男性．既往歴は高血圧，糖尿病．大腸内視鏡検査にて上行結腸癌を認めた．術前検査にて経胸壁心エコーを施行し大動脈弁狭窄及び左房内腫瘤を認め，精査となった．
【検査所見】
Hb 13.7 g/dl，RBC 431×10/μl，WBC 4860/μl，PLT 14.5×10/μl，CRP 0.62 mg/dl，ALT 18 IU/L，CEA　6.6 ng/ml，
CA19-9 12.1 U/ml．12誘導心電図は洞調律で心拍数92回/分．胸部Ｘ線でCTRは46％．経胸壁心エコーでは，Dd/Ds=34.1/17.6 mm，IVS/PWT＝11.4/9.9 mm，AOD 31 mm，LAD 27 mm，EF 80％．僧帽弁弁輪部後方の左房後壁に塊状腫瘤を認めた．大動脈弁は著しい石灰化で解放制限を認めた（PSV 4.15m/s，mean PG 37mmHg，連続の式によるAVA 0.7cm）．経食道心エコーでは，24×14mm大の乳頭状で内部エコー不均一の，可動性に乏しい腫瘤が左房後壁に広基性に付着していた．カラードプラで腫瘤内部に血流シグナルを認めなかった．大動脈弁は二尖弁でrapheを認めた．
【経過】
左房内腫瘤摘出，大動脈弁置換術を施行した．大動脈弁は二尖弁であった．左房内腫瘤の病理診断は粘液腫であった．
【まとめ】
経胸壁，経食道心エコーで左房内腫瘍の鑑別に苦慮した高齢男性の大動脈弁狭窄症の一例を経験した．