吉澤 昌純¹, 瀬川 達也¹, 入江 喬介², 田川 憲男³, 伊東 紘一⁴, 紺野 啓⁵, 谷口 信行⁵, 守屋 正⁶

Masasumi YOSHIZAWA¹, Tatsuya SEGAWA¹, Takasuke IRIE², Norio TAGAWA³, Kouichi ITOH⁴, Kei KONNO⁵, Nobuyuki TANIGUCHI⁵, Tadashi MORIYA⁶

¹東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科, ²マイクロソニック株式会社社長, ³首都大学東京大学院システムデザイン研究科, ⁴武蔵超音波医理学研究所所長, ⁵自治医科大学臨床検査医学, ⁶首都大学東京名誉教授

¹Monozukuri Department, Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, ²President, Microsonic co., ltd., Tokyo, Japan, ³Graduate School of System Design, Tokyo Metropolitan University, ⁴President, Institute of Musashi Microsonic Medical-physics, ⁵Department of Clinical Laboratory, Jichi Medical University, ⁶Emeritus, Tokyo Metropolitan University

キーワード :

【目的】
我々が実現に向け研究を進めている，石英棒を伝送線路およびセンサとして用いた穿刺型超音波顕微鏡^（1-4）は，染色の必要が無いため術中の病理検査に向き^（2），特に音響インピーダンス計測では組織表面の画像化が可能となる^（1）．この時，超音波干渉法により音響インピーダンスを計測すれば，表面から見込んだ組織の内部構造を反映した音響インピーダンスの位相差成分を画像化できる^（4）．位相差顕微鏡画像が細胞の構造観測に有効な様に，位相差画像が細胞構造を反映し，染色に代わる役割をすることが期待できる．今回，複素音響インピーダンスの位相差画像が，どのように構造を反映するかの事例研究を行った．
【実験方法】
図1に示す様に，厚さ0.2 mmのアクリル板を2枚重ね，それぞれに直径の異なる穴を空け，重ねて配置した試料の位相差画像を取得した．試料は水の中に没し計測を行った．振動子に周波数44.9 MHz，波数20，振幅10 V_p-pのバースト波を印加し，石英棒先端と試料表面からの反射信号を干渉させて，試料と石英棒先端の間の距離を変えて振幅が最大となる距離で固定した．次に，自動ステージにより2次元走査し，音響インピーダンスの大きさと位相差を反映する試料の干渉信号の振幅分布を画像化した．
【結果と考察】
図1に実験結果を示す．試料の音響インピーダンスの大きさは一定のため，得られた画像は試料の位相差を反映する．実験結果の位相差画像にはセンサの走査面に対する構造的な歪みが干渉縞として観測されている．また，厚さの異なる部位では，干渉縞のコントラストが異なり，奥行き方向の構造の違いを見分けることができる．今後，生体の音響インピーダンスの位相差画像を取得，検討する予定である．
【文献】
1.M. Yoshizawa, T. Irie, K. Itoh, and T. Moriya: Jpn. J. Appl. Phys. 49（2010）07HF03.
2.伊東紘一，他．J Med Ultrasonics Vo. 40 Supplement. S420（2013）.
3.瀬川達也，他．J Med Ultrasonics Vo. 40 Supplement. S632（2013）.
4.瀬川達也，他．Symp. Ultrason. Elec., 34, 2P5-1（Nov. 2013）.