田中 克彦¹, 塩見 尚礼², 来見 良誠², 谷 徹², 田中 雄介³, 大平 克己³, 小倉 幸夫⁴

Katsuhiko TANAKA¹, Hisanori SHIOMI², Yoshimasa KURUMI², Tohru TANI², Yuusuke TANAKA³, Katsumi OHIRA³, Yukio OGURA⁴

¹立命館大学総合科学技術研究機構, ²滋賀医科大学外科学講座, ³ジャパンプローブ株式会社研究開発センター, ⁴ジャパンプローブ株式会社社長

¹The Research Organization of Science and Technology, Ritsumeikan University, ²Department of Surgery, Shiga University of Medical Science, ³Research and Development Center, Japan Probe Co., Ltd., ⁴President, Japan Probe Co., Ltd.

キーワード :

【はじめに】
これまでに小型で操作性がよくて正確に針を挿入できる穿刺用超音波探触子として，垂直挿入が可能な円筒形状のリングアレイ型探触子を試作して，針の検出原理と探触子の性能評価について報告した［1］，［2］．今回これを発展させて，血管穿刺用の1次元リニアアレイ探触子を試作して，その性能評価を行った．
【探触子の構造】
試作した128素子の探触子を図1に，素子の配置図を図2に示す．中央に幅2mmの穿刺用U型スリットがあり，その両側に前方検出用として幅0.1mm，高さ6mm，ピッチ0.15mmの素子を各60個，U型スリットの円弧部に針検出用として8個の素子を配置した．素子材料にPZTとエポキシ樹脂の1-3コンポジット材を用い，設計周波数は7.5MHzとした．
【探触子の評価】
血管ファントム，ブタ，イヌを用いて，穿刺操作性と探触子のBモード画像を評価した．イヌ大腿筋肉部に穿刺したとき，Bモード画像で動脈，静脈と針先端位置を観測した．血管に穿刺する場合，血管に沿う方向で体表に対して傾斜して針を挿入することが多いので，傾斜穿刺用のスペーサを試作した．スペーサの材料には，音響インピーダンスと音速が生体に近く，減衰の小さいファントム材を用いた．傾斜穿刺の場合でも穿刺方向は探触子面に対して垂直である．また，滅菌カバーシートと針を固定するために，使い捨てのアタッチメントを3Dプリンタで作製した．これらの試作により，動物実験で操作性のよい超音波ガイド下穿刺を確認した．今後画質の改良を図る．
【謝辞】
本研究はJST研究成果最適展開支援事業A-STEP（平成24-25年度）AS2421153Pの助成を受けて行ったものである．
【文献】
［1］田中克彦他，日本超音波医学会第85回学術集会　85-基P　001（2012）．
［2］田中雄介他，電気学会論文誌E, Vol. 132，pp. 420-424（2012）.