英文誌(2004-)
一般口演 総合・その他
総合・その他
(S706)
検査レポートの伝達精度に関する検討
A study regarding the communication preciseness of the diagnostic reports
大田 豊承
Toyotsugu OTA
三菱京都病院放射線科
Radiology, Mitsubishi Kyoto Hospital
キーワード :
【背景および目的】
超音波検査において,疾患を正しく診断したにも関わらずそれが担当医に正しく伝わらなかったために望ましくない結果を招くことがある.今回は検査レポートで頻用される表現のいくつかを取り上げてそれらの表現が読む人すなわち担当医にどう理解されるかを確かめた.
【方法】
三菱京都病院の医師全員(48名)に対してアンケートを取った.病名は胃癌とした.「胃癌疑い」,「胃癌の可能性あり」,「胃癌r/o」などと記載されたレポートを読んだ場合に,担当医が「レポート作成者は何パーセントの確率で胃癌だと考えている,と受け取るか」を回答してもらった.
【結果】
有効回答数は20であった.「胃癌」と言い切った場合には全員が「90%以上」と回答したが,「胃癌r/o」では0%から75%と大きなばらつきがあった.また「胃癌r/o」の後に「内視鏡検査が必要」などの文言を付け加えるとそれにより数値が変わった.
【考察】
「可能性あり」,「r/o」などの曖昧な表現は,それを読む人によって受ける印象が大きく異なってしまうことが明らかになった.それが結局はその後の診療方針に誤った方向性を与えてしまう可能性がある.疾患を正しく診断することはもちろん重要なことである.しかしいくら正しく診断してもそれが担当医に正しく伝わらなければ意味がなく,患者の立場からすると誤診に等しい.従って我々は正しく診断する努力をすべきなのは当然であるが,その診断内容を正しく伝える努力も忘れてはならない.