Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 総合・その他
総合・その他

(S704)

健診における腹部ルーチン走査法としてのαスキャン-骨盤腔内に新たに発見された疾患

αscan as a routine scan method for abdominal ultrasonography in health check up(Newly detected lesions by scannig into pelvic space)

武田 美衣1, 矢島 義昭2, 杉田 貴子1, 佐藤 武敏1, 長塩 泰貴1, 高橋 信行1, 田中 瑶子1

Mie TAKEDA1, Yoshiaki YAJIMA2, Takako SUGITA1, Taketoshi SATO1, Yasutaka NAGASHIO1, Nobuyuki TAKAHASHI1, Yoko TANAKA1

1黒沢病院附属ヘルスパーククリニック検査科, 2黒沢病院附属ヘルスパーククリニック内科

1Clinical Laboratory, Health Park Clinic Kurosawa, 2Internal Medicine, Health Park Clinic Kurosawa

キーワード :

超音波検査は無侵襲,無痛で,かつ即時的に決定的な画像情報を入手することが可能である.このような特性をもつ超音波検査でスクリーニングをするからには腹部の全ての臓器が対象となる.超音波検査が臨床応用された当初は上腹部の実質臓器(肝胆膵,腎,脾)が主たる対象となり,これらの臓器を連続的にスキャンする方法として上腹部に“の”の字を書くように走査する“の”の字スキャンの呼称が提案され,今日でもよく使われている.
我々の腹部超音波検査のルーチン走査法は,左肋間より①脾と左腎を走査し,②その後正中矢状断で大動脈〜下大静脈周辺を走査し,③心窩部横走査で肝外側区から始まり,④右季肋下走査で内側区〜胆嚢を走査,その後,⑤右葉〜右腎を走査して右肋間走査に移り,⑥右腎を走査し,⑦下位肋間より横隔膜直下を“見上げて”のち,順次肋間を上げていきながら,⑧門脈右枝〜総胆管を走査して,⑨再度胆嚢を頚部,底部を意図的に走査して,⑩心窩部に戻って膵周辺を観察する,続いて⑪大動脈を横走査しながら下行して骨盤臓器へ至り,⑫膀胱ならびに周辺の前立腺,子宮,卵巣を走査している.この一連の連続走査をαスキャンと呼称している.今回は走査範囲を骨盤腔内に拡大した結果新たに発見された疾患について報告する.
【対象および方法】
2011年度の当院の健診受診者19609人(男 11744人,女 7865人)を対象としてαスキャンを排尿後に施行した.
【結果】
発見された病変は554病変であり,その内訳は子宮筋腫 218例(2.8%),前立腺肥大 156例(1.3%),卵巣嚢胞性疾患 112例
(1.4%),膀胱疾患 21例(0.1%),腹部大動脈瘤 21例(0.1%),
下部尿管結石 6例(0.03),その他 20例であった.現在までに集計された悪性腫瘍は6例で,その内訳は卵巣癌2例,膀胱癌3例,小腸GIST
1例であった.
【考察】
αスキャン導入前はルーチン走査としては上腹部走査に終始していた.
骨盤内走査により新たに発見される多くの疾患は良性疾患であるが6例の悪性疾患が発見された意義は大きい.膵より下方に走査範囲を拡大することに要する時間はせいぜい<1分であり,αスキャンは効率のよい走査法ではないかと考えている.