Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 整形外科
整形外科2

(S700)

肩腱板断裂に対する超音波検査の有用性

Ultrasonographic diagnosis of rotator cuff tear

平田 正純1, 2, 黒川 正夫1

Masazumi HIRATA1, 2, Masao KUROKAWA1

1大阪府済生会吹田病院整形外科, 2大阪府済生会吹田病院リハビリテーション科

1Department of Orthopaedic Surgery, Osaka Saiseikai Suita Hospital, 2Department of Rehabilitation, Osaka Saiseikai Suita Hospital

キーワード :

【目的】
人体最大の可動域を有する肩関節はその機能において周囲の軟部組織に依存する割合が高く,障害の発生はおのずと軟部組織に多く見られる.有痛性肩関節疾患のひとつである肩腱板断裂は肩関節周囲炎との鑑別が非常に重要である.近年,診断装置の進歩により運動器疾患に対する超音波診断の重要性が注目されている.今回1990年-2012年までの腱板断裂の超音波診断精度の変化を検討した.
【対象および方法】
腱板の上方構成体である棘上筋・棘下筋断裂につき1期(1990-94年)100例,2期(1998-2002年)168例,3期(2010-2012年)86例にわけ,腱内部エコーの変化,肩峰下滑液包の形態,上腕骨大結節不整像の有無につき検討した.2012年には59例で前上方構成体の肩甲下筋断裂に関し上腕二頭筋腱長頭の脱臼,腱内部エコー変化,上腕骨小結節不整像の有無につき検討した.いずれの時期も座位法,高周波リニアプローブを用いて観察を行った.
【結果】
腱内部低エコーを示したのは1期56.0%,2期90.2%,3期84.4%で,高エコーは1期14.0%,2期1.1%,3期0%,不均質像が1期21.0%,2期6.9%,3期13.3%であった.断裂サイズでは中から広範囲断裂で全例が低エコーを示し,不全断裂では不均質像が50%に認められた.肩峰下滑液包の形態は小断裂で陥凹型57.1%,中断裂では陥凹型25%,平坦型65%,大断裂,広範囲断裂は全例平坦型であった.最新の診断装置による棘上筋・棘下筋断裂診断はその感度が95.6%,特異度94.6%,正確度95.1%であり,肩甲下筋断裂では感度は88.1%,特異度100%,正確度92.8%であった.
【考察および結論】
棘上筋・棘下筋については腱内部エコーの変化,肩峰下滑液包の形態,上腕骨大結節不整像が,肩甲下筋に関しては上腕二頭筋腱長頭の脱臼,腱内部エコー変化,上腕骨小結節不整像が断裂の診断基準になると考えた.診断装置の発達で超音波検査は日常の肩関節痛診療において必須かつルーチン検査になるものと考えた.