Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 整形外科
整形外科1

(S699)

超音波による橈骨神経検索症例の検討

Examination of radial nerve by ultrasound

佐次田 保徳

Yasunori SASHIDA

沖縄県立北部病院形成外科

Devision of Plastic Surgery, Okinawa Hokubu Prefectural Hospital

キーワード :

表在の超音波の中で,四肢の筋,関節,神経の領域の検査法の発達は目覚ましいものがある.とりわけ末梢神経の超音波による検出は,疼痛緩和のための神経ブロックの需要の高まりに伴って,かなり詳細に描出が論じられている.しかし,橈骨神経,特にその上腕以遠の描出に関しての報告は少ない.橈骨神経は,腕神経叢から出でた後,上腕骨を内側から,外後方へ迂回し,肘レベルで,浅枝,深枝へ分岐する.浅枝は掌側で知覚枝となり,手関節近傍で背側へ回って,母指側の手背の知覚を伝える.深枝は,肘から後面へ回って主に伸筋を支配する.今回,上肢の疾患の取り扱い中に橈骨神経の検出が有用であった症例につき検討を加えた.対象は,2012年6月より2013年11月までの6例で,15才から57才である.内訳は,手術あるいは術後のリハビリのための神経ブロックが4例,上腕レベルでの橈骨神経損傷例が1例,前腕の重症の挫滅症例の手術にあたり変形した前腕での橈骨神経検索例が1例であった.神経ブロックは,上腕外側で施行した症例が2例,前腕及び手関節で橈骨神経浅枝へ施行した症例が2例であった.上腕での橈骨神経損傷例は,描出された神経の神経小束の消失が一部で認められていた.しかし,受傷部より遠位での神経小束は温存されており,やがて回復した.また,前腕の挫滅後の拘縮例は,重度の挫滅・熱傷・コンパートメント症候群を合併した症例で,かつ,皮膚移植や皮弁などの頻回の手術後であったが,超音波により前腕で橈骨神経を同定することにより安全で迅速な拘縮の解除手術の施行が可能であった.橈骨神経を超音波により描出することにより,各位での神経ブロックが確実かつ安全に施行でき,また,神経の同定・質的評価をすることで,診断・手術の有力な手助けとなりうる.