英文誌(2004-)
一般口演 整形外科
整形外科1
(S698)
皮下血管脂肪腫に対する超音波所見の検討〜脂肪腫との比較〜
Characteristic sonographic findings for subcutaneous angiolipoma
八代 浩, 荒川 亜矢, 長谷川 義典
Hiroshi YATSUSHIRO, Aya ARAKAWA, Yoshinori HASEGAWA
福井県済生会病院皮膚科
Dermatology, Fukui Saiseikai Hospital
キーワード :
【背景】
皮膚科医や形成外科医において,皮下脂肪腫はよく診察する疾患である.その超音波所見は特徴的であり,診断は比較的容易である.しかし,類縁疾患である皮下血管脂肪腫の超音波所見は過去の報告が少なく,あまり知られていない.皮下血管脂肪腫は10歳代後半から20歳代前半の男性に生じることが多い,有痛性で多発傾向のある皮下結節である.治療は外科的切除であるが,ほとんどの症例はpop outで摘出されるため,通常の脂肪腫の摘出より容易である.
【目的】
脂肪腫と比較検討することにより,皮下血管脂肪腫の超音波所見を分析し,術前の補助診断となるかを検討した.
【対象と方法】
2008年8〜2013年9月までに当科を受診し,術前に超音波検査を受け,手術にて摘出,病理検査にて皮下血管脂肪腫と確認された10症例,63病変を対象とした.また同期間に同様に診断・摘出した脂肪腫50病変をコントロール群とした.なお超音波装置は日立 HDI-2000,PHILIPS iU22を使用し,プローブは5〜12MHz superficial mode(B-mode,Doppler-mode)で走査した.また読影は放射線科医と皮膚科医によるdouble check方式で判読した.
【結果】
脂肪腫は紡錘形の低エコー病変であったのに対して,血管脂肪腫は全ての症例で球形から楕円形を呈し,内部エコー輝度はhomogeneousで等〜高エコーであった.また多くの病変は境界明瞭であり,後方エコー増強や減少はなく,Doppler-modeでも血流は確認されなかった.
【考察】
皮下脂肪腫の超音波所見は一般的に紡錘形の低エコーを示す.皮下血管脂肪腫は形や内部輝度ともに脂肪腫と異なっており,画像的特徴を捉えておけば,触診などの臨床所見と組み合わせ,血管脂肪腫と診断することは容易である.しかし,画像診断のみでは石灰化上皮腫などの内部輝度の高い疾患と鑑別が困難となるため,必ず臨床的に総合判断することが診断の精度を向上させると考える.