Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 腎泌尿器
腎泌尿器2

(S689)

腎動静脈奇形・動静脈瘻の検出における超音波検査の現状

Present status for detection of renal vascular malformation and arterio-venous fistula by ultrasonography

河本 敦夫1, 佐口 徹2, 斎藤 和博2, 石井 克也1, 青木 淑子1, 高橋 友紀1, 佐々木 理香3, 井上 瑠美3

Atsuo KAWAMOTO1, Tohru SAGUCHI2, Kazuhiro SAITO2, Katsuya ISHII1, Yoshiko AOKI1, Yuki TAKAHASHI1, Rika SASAKI3, Rumi INOUE3

1東京医科大学病院放射線診断部, 2東京医科大学放射線医学教室, 3東京医科大学中央検査部

1Department of Diagnostic Imaging, Tokyo Medical University Hospital, 2Department of Radiology, Tokyo Medical University, 3Clinical Laboratory, Tokyo Medical University Hospital

キーワード :

【目的】
肉眼的血尿の原因として,症候性および無症候性を問わず腎動静脈奇形・動静脈瘻(以下AVM/AVF)は稀であるが重要な疾患である.血尿診断ガイドライン(日本泌尿器学会,日本腎臓学会ほか,2006年)で超音波検査は,肉眼的血尿における第一選択の画像検査法として推奨されている.今回,当施設における腎AVM/AVFに対する超音波検査の現状について検討した.
【対象と方法】
対象は2010年1月から2013年12月の4年間に超音波検査が施行され,腎AVM/AVFと臨床診断がなされた15例である.年齢は16歳から76歳,平均年齢は49.6歳であった.性別は男性4名,女性11名で,患側は右が12例,左が3例であった.発見動機は肉眼的血尿が13例,無症状かつ画像発見が2例であった.超音波検査はBモードでの尿路系(腎,尿管,膀胱)観察後,カラードプラでの検索を行った.カラードプラは腎内の限局性乱流シグナルを検索し,高流速でのモザイク状カラー表示をAVM/AVFとした.流速レンジは20 cm/s程で観察を始め,疑わしい部位では50cm/s以上の高い設定で乱流シグナルの残存を確認した.
【結果】
同期間超音波検査にて腎AVM/AVFが疑われた症例は19例で,偽陰性は4例あった.病変はカラードプラで全例で病変の指摘が可能であった(15/15:100%)が,Bモードでは2例のみであった(2/15:13%).内訳はcirsoid type(11/15:73%),aneurysmal type(4/15:27%)であった.aneurysmal typeは4例とも後天性(腎生検後1例,腎部分切除術後3例)と考えられた.選択的腎動脈塞栓術が12例に行われ,エタノールあるいは金属コイルによる経血管的治療がなされた.3例は画像にて経過観察中である.
【考察】
画像診断の進歩に伴い,他検査で偶発的に発見された無症候性の症例も認められた.腎AVM/AVFが臨床上疑われるとき,至適PRFに設定したカラードプラでの検索が有効な方法と考えられた.