Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 腎泌尿器
腎泌尿器1

(S688)

腹圧性尿失禁に対する脂肪由来幹細胞傍尿道注入術の効果判定における造影超音波の経験

Experience of contrast-enhanced ultrasound in effect judgment of ACS near urethra injection surgery for stress urinary incontinence

稲葉 はつみ

Hatsumi KIKUCHI

名古屋大学医学部附属病院医療技術部

Medical Technology Depertment, Nagoya University Hospital

キーワード :

【目的】
腹圧性尿失禁は,傍尿道周囲に位置する尿道括約筋機能の障害により腹圧負荷時に尿が漏れるもので,直接生命に関わることはないが,生活の質を著しく阻害するQOL疾患である.妊娠・出産・加齢などが要因となる女性の腹圧性尿失禁は,本邦では約400万人が罹患していると推定されている.今回我々は腹圧尿失禁症例に自己皮下脂肪由来幹細胞傍尿道注入臨床研究を行っている(Gotoh M, Yamamoto T et al IJU 2013).またASC)注入部位(傍尿道周囲)での再生において局所血流保つことは必要不可欠であるがその評価についての報告はない.そこで我々はSonazoid造影超音波検査でのASC注入部の血流評価を行ったので報告する.
【対象】
男性4名:前立腺全摘除術後腹圧性尿失禁(平均年齢69±5歳)と女性3名:出産後括約筋障害(平均年例41±5歳).女性3例のうち2例は出産を機に,1例は子宮摘出術後に失禁症状の出現した症例を対象とした.
【方法】
測定超音波装置はGE社製LOGIQ7,経直腸プローブ(E8C)を用い,Bモード・カラードップラー・パワードップラーで描出画面を決定した後,上肢の静脈よりソナゾイドを0.015ml/Kgボーラス投与した.投与開始0〜40秒間,3分後〜15秒間,5分後〜15秒間の動画を記録し,脂肪肝細胞を投与した膀胱頸部付近でサンプリング(範囲:直径6mm)を行い輝度の変化をグラフにした.術前,術後2週間・1か月・3か月6か月で経時的に行った.グラフの輝度変化を⊿I,輝度がbaseからpeakに到達するまでの時間を⊿Tとし,尿道内圧曲線(UPP),造影MRIとの比較を行った.さらに,関心領域の造影5分後パワードプラー血流信号領域の占める割合を評価に用いた.
【結果】
術後尿失禁量が改善した男性2名・女性2名(良好群)と改善が認められなかった男性2名・女性1名(不良群)に分類したところ男性良好群では不良群と比較し⊿Iは術前より増大し,UPP(MUCP,PFL)値も改善し,造影MRIでも注入部位に良好な血流を認めた.一方,女性では両群ともに術前と比較し⊿Iは増大し,豊富な血流を認めた.⊿Tは男女ともに術前と比較し変化は認められなかった.また,パワードプラー血流信号領域割合は増加傾向にあった.
【結語】
括約筋障害の腹圧性尿失禁の症例の傍尿道周囲の血流評価をSonazoid造影超音波検査で評価した.Sonazoid造影超音波検査は自己皮下脂肪由来幹細胞傍尿道注入術後の治療効果判定の一助となり得ることが示唆された.