Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 血管
静脈・技術

(S680)

鎖骨上窩に極小プローブを置くことで上大静脈系冠状断描出を可能にした中心静脈路確保

CV catheterization with a small ultrasonic transducer on the supraclavicular fossa showing a coronal image of superior vena cava and subclavian vein

大橋 直樹2, 仁科 晴弘2, 方山 哲司3, 吉田 範敏1, 丸山 俊朗1, 清水 喜徳2, 佐藤 篤2, 加藤 博久2, 井原 厚1

Naoki OHASHI2, Haruhiro NISHINA2, Tetsuji KATAYAMA3, Noritoshi YOSHIDA1, Toshiro MARUYAMA1, Yoshinori SHIMIZU2, Atsushi SATO2, Hirohisa KATO2, Atsushi IHARA1

1浅草病院外科, 2江東病院外科, 3浅草病院麻酔科

1Department of Surgery, Asakusa Hospital, 2Department of Surgery, Koto Hospital, 3Department of Anesthesia, Asakusa Hospital

キーワード :

【目的】
中心静脈穿刺は超音波誘導下で行うことが誤穿刺回避のために常識となっていると言っても過言ではないが,鎖骨上窩の穿刺,いわゆる鎖骨上アプローチについては,これまで一定の方法論が確立されていない.今回我々はさまざまなプローブを試用し,試行錯誤と工夫を重ねることで再現性・汎用性において満足しうる手法に到達したので報告する.
【対象と方法】
中心静脈路確保の適応となった成人症例25例(男性17例,女性8例,BMI22.7±2.9)に対しリニア型,セクタ型,コンベックス型のプローブを使用,右鎖骨上窩から中心静脈路描出の可否について集計した.
【結果と考察】
一般に血管の描出にはリニアタイプのプローブが用いられることが多い.鎖骨上窩においては長軸での鎖骨下静脈描出が可能なものもあったが,やせ型で体格が小さい患者では鎖骨上窩でプローブが適切に固定できず描出困難となるケースがあった.比較的広角でプローブが小さいものが有利であることが示唆された.小児用の極小プローブ,いわゆるマイクロコンベックスを用いれば,全例,体型によらず,しかも,鎖骨下静脈に限らず内頸静脈との分岐部から腕頭静脈・上大静脈までの中心静脈路を冠状断で一望できる像を描出可能であった.プローブ長軸と平行に穿刺針を進めると,リアルタイムで内頸静脈と鎖骨下静脈の分岐部に刺入されていく像が確認できた.この手法では,①穿刺時に血管がつぶれたりずれたりすることがないため従来の内頸静脈穿刺のように両手の高度な協調を必要としない,②同一断面で肺も描出することが可能であるため気胸を回避するにも有利であるといった利点が示唆された.
【結語】
Yofaらが1965年のLancetで報告した鎖骨上穿刺の手法は普及しているとは言い難いが,超音波での描出法に十分な再現性があれば再評価されうると考える.今回の検証に留まらず,より多くの症例でエビデンスを裏付けていく必要がある.