Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 血管
動脈硬化

(S677)

頸動脈プラーク超音波輝度と将来の心血管病発症の関連

Association between carotid plaque echogenicity and future cardiovascular events

田所 靖啓1, 橋本 弘行1, 坂口 学2, 岡崎 周平2, 三輪 佳織2, 望月 秀樹2, 北川 一夫2

Yasuhiro TADOKORO1, Hiroyuki HASHIMOTO1, Manabu SAKAGUCHI2, Shuhei OKAZAKI2, Kaori MIWA2, Hideki MOCHIZUKI2, Kazuo KITAGAWA2

1大阪労災病院内科(高血圧・卒中), 2大阪大学医学系研究科神経内科学(脳卒中センター)

1Hypartension and Stroke Division, Department of Internal medicine, Osaka Rosai Hospital, 2Stroke Division, Department of Neurology, Osaka University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
動脈硬化ハイリスク患者における頸動脈プラーク超音波輝度と最大プラーク厚,心血管病発症との関連について検討した.
【方法】
一つ以上の動脈硬化危険因子を有するハイリスク患者の前向きコホート研究であるOSACA2研究の登録患者のうち,2001年1月1日より2006年4月30日までに頸動脈超音波検査で最大厚プラークにおける超音波輝度の定量的評価(IBS index)を行った596例について,心血管病(脳卒中,心筋梗塞,入院を要する不安定狭心症・末梢動脈疾患,心血管死)の新規発症を2011年6月30日まで前向きに追跡し,IBS indexと心血管病新規発症の関連について調査した.
【結果】
平均追跡期間は6.4年±3.1年で,心血管病の新規発症は121例であった.IBS indexは,男性,および心脳血管病の既往を有する患者で低く,LDLコレステロール値,中性脂肪値,最大プラーク厚(max IMT)と負の相関を認める一方,年齢,HDLコレステロール値とは正の相関を認めた.年齢,性別,既知の動脈硬化危険因子,心血管病の既往およびmax IMTで補正したCox比例ハザード解析では,IBS indexが中央値より低い群では高い群に比して有意に心血管病の発症率が高い傾向が観察された.max IMTによる層別化解析では,max IMT>2.0mmの群ではIBS indexの低値と心血管病の発症率に関連があったが(リスク比1.63,95%CI 1.04−2.61),IMT≦2.0mmの群では関連はなかった.
【結論】
頸動脈プラーク超音波輝度を評価することは,心血管病発症を予測する上で有用である可能性がある.また,中等度以上の頸動脈プラークにおける超音波輝度の低値は将来の心血管病発症の危険因子と関連を認めており,中等度以上の頸動脈プラークの超音波輝度を測定することは高リスク心血管病発症患者の選別により有用である可能性がある.