Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 頭頸部
頭頸部2・その他

(S673)

超音波を併用した喉頭筋電図検査の有用性

Utility of laryngeal electromyogram concominantly-used ultrasound

福原 隆宏, 松田 枝里子, 北野 博也

Takahiro FUKUHARA, Eriko MATSUDA, Hiroya KITANO

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Tottori University Faculty of Medicine

キーワード :

【はじめに】
喉頭筋電図検査は,発声に関係する喉頭筋に体表より針電極を刺入して筋の活動電位を得る.そうして得られた活動電位を分析して,喉頭筋やその支配神経の病態を知ることが出来る検査である.画像診断などその他の検査では得ることのできない神経・筋の病態を知ることができ,診断や予後判定,治療について包括的情報をもたらす.しかし,喉頭筋は喉頭の軟骨による枠組みの中で複雑に重なり合っているため,針電極の刺入には技術が必要であり,さらに穿刺が正確に行われているかの確認は困難である.このたび我々は,喉頭筋電図検査における超音波機器の有用性を検証した.
【方法】
2012年11月から2013年12月までに当科で喉頭筋電図検査を施行した34例を対象に,検査に超音波を併用した.患者の内訳は,男性20例,女性14例であった.検査は電磁波をシールドした部屋で行った.超音波機はソノサイトジャパンのM-turboとリニアプローブを使用し,患者の頭側に置きアースを設置した.電極針には同芯型を使用し,穿刺する筋は上喉頭神経支配の輪状甲状筋と下喉頭神経支配の甲状披裂筋とした.超音波併用において次の2点について評価した.1.検査前に筋電図検査でメルクマールとなる解剖学的特徴(甲状軟骨・輪状軟骨の位置や正中,輪状甲状間膜の位置)が,超音波で確認出来るか.2.声帯を水平方向に描出し,針電極の刺入方向の確認,もしくは針電極の針先が確認出来るか.
【結果】
対象患者の疾患の内訳は,甲状腺疾患21例,大動脈弓部置換術後4例,肺癌術後3例,その他5例であった.1例は途中で中断した.全症例において項目1を満たし,検査前にメルクマールとなる解剖を超音波で正確に確認できた.全体の18%にあたる6例で項目2を満たさず,検査中に声帯位置を確認できず,電極針の先も超音波で描出できなかった.描出できない症例は,体格が大きく首が太く短い症例がほとんどであった.しかし,検査前に正確にメルクマールとなる解剖位置を確認できたため,検査自体には支障をきたさなかった.
【結論】
超音波ガイド下の喉頭筋電図検査は,検査手技に必要となる重要な解剖が検査前に確認できて,さらに症例は限られるが,針電極が対象の筋肉に正確に穿刺されていることが確認できる有効な手法と考えられた.