Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 頭頸部
頭頸部1

(S670)

頭頸部癌頸部リンパ節転の超音波移診断基準案を用いた,術前頸部リンパ節診断の検討

Examination of Preoperative Lymph Node Diagnosis Using Ultrasonographic Diagnostic Criteria of Cervical Lymph Node Metastasis of Head and Neck Cancer

齋藤 大輔1, 2, 松浦 一登2, 志賀 清人1

Daisuke SAITO1, 2, Kazuto MATSUURA2, Kiyoto SHIGA1

1岩手医科大学耳鼻咽喉頭頸部外科, 2宮城県立がんセンター頭頚科

1Otolaryngology - Head and Neck Surgery, Iwate Medical University, 2Head and Neck Surgery, Miyagi Cancer Center

キーワード :

頭頸部扁平上皮癌は頸部リンパ節転移をきたしやすく,転移の有無や広がりが予後を決定する因子の一つとなっている.その診断は,CTやMRI検査で行われることが多いが,1cm未満のリンパ節においては診断が難しいとされている.近年,超音波診断装置の進歩から,Bモード解像度やカラードプラ画像の質が向上し,小さな頸部リンパ節からも,より多くの情報を得ることができるようになった.しかしながら,超音波による頸部リンパ節転移の診断には,統一した診断基準がなかった.現在,神奈川県立がんセンター頭頸部外科の古川らが中心となり「頭頸部癌頸部リンパ節転移の超音波診断基準(案)」の多施設臨床研究を行っている.現在までのところ,陽性的中率92%,陰性的中率94%と非常によい成績がでている.今回我々は,この診断基準(案)を用いて当科症例での検討を行った.
【対象】
頭頸部扁平上皮癌で頸部郭清術を施行する術前治療のない症例で,厚さ6mm前後の11症例20個のリンパ節(明らかに転移陽性のものは除いた).
【方法】
治療前に超音波で頸部リンパ節の評価を行い,頸部郭清後に摘出リンパ節と術前評価リンパ節をマッチさせ,その画像所見と病理組織学的診断を行った.超音波診断装置は日立アロカメディカル:プロサウンドα10,もしくはアロカ:SD550で体表用プローブ(20MHz)を用い,事前に超音波診断基準(案)の講習会を受けた医師が超音波診断を行った.
結果
病理診断で転移陽性であったリンパ節4個のうち,4個(100%)が診断基準(案)で術前に転移陽性と正しく診断された.病理診断で転移陰性であったリンパ節16個のうち,15個(94%)が診断基準(案)で術前に転移陰性と正しく診断された.偽陽性のリンパ節は顎下リンパ節(level1b)であった.
考察
本診断(案)は他施設においても,わかりやすく使用できるものであった.特にlevel2〜5の範囲で,CTで1cm以下,PETで弱い集積のあるリンパ節の陰性診断には有用であった.しかしながら,当科偽陽性症例である顎下リンパ節(level1)では,他部位に比しリンパ節が生理的に大きく厚みがあり,リンパ門がはっきりしないものが多い.さらに,下顎骨が邪魔をして矢状断の描出が困難なことも多く,超音波診断医の習熟が必要と考えられた.
今回,上記に他病院におけるリンパ節評価を加えて検討し,複数施設での症例を報告する.