Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 甲状腺
FAPおよび転移性甲状腺癌他

(S663)

腎癌甲状腺転移の1例

Metastatic renal carcinoma to the thyroid gland; a case report

山下 皓正, 宮部 理香, 石井 賢二郎, 大島 令子, 熱田 幸司, 小林 秀昭, 中山 隆盛, 白石 好, 森 俊治, 磯部 潔

Terumasa YAMASHITA, Rika MIYABE, Kenjiro ISHII, Noriko OSHIMA, Koji ATSUTA, Hideaki KOBAYASHI, Takamori NAKAYAMA, Kou SHIRAISHI, Shunji MORI, Kiyoshi ISOBE

静岡赤十字病院外科

Department of Durgery, Shizuoka Red Croee Hospital

キーワード :

甲状腺の転移性腫瘍は,悪性腫瘍の治療法の進歩と画像診断の普及に伴い,以前より頻繁に発見され,穿刺吸引細胞診により診断されることが難しくなくなった.今回我々は,腎癌甲状腺転移の1例を経験したので報告する.
症例は70歳代女性,X-4年,腎細胞癌にて左腎摘出術の既往あり,インターフェロン投与後,定期フォローされていた.X年,定期フォローのCTにて甲状腺腫大を指摘され,精査目的に当科紹介受診となった.触診では左右の甲状腺に母指頭大の硬い腫瘤を触知,可動性は保たれていた.B-modeにて右葉に25x23x25mm,左葉に23x13x47mmの低エコー腫瘤を認め,辺縁不整,内部不均質であった.微細多発高エコーは認めなかった.ドプラにて拍動性を伴う豊富な血流を認めた.隣接臓器浸潤や,周辺リンパ節に転移を疑うリンパ節腫大を認めなかった.左右両葉より細胞診施行,右葉より腎細胞癌の転移の疑いとの結果,左葉は血液成分のみであった.血液生化学検査で甲状腺機能は正常,Tg値は10ng/ml以下であり,抗Tg抗体,抗TPO抗体はいずれも陰性であった.胸腹部CTでは多臓器への転移を疑う所見は認められなかった.以上の結果より腎癌甲状腺転移疑いにて手術施行する方針となり,甲状腺全摘施行した.病理組織検査にて腎淡明細胞癌の甲状腺転移と診断,腺腫葉甲状腺腫を合併していた.術後,一過性の副甲状腺機能低下症認めるも改善し,現在はレボチロキシン内服のみ施行.泌尿器科にてエベロリムス投与されるも副作用にて中止,現在術後5ヶ月経過し,無再発生存中である.
転移性甲状腺腫瘍は,甲状腺原発悪性腫瘍と超音波像が酷似する場合がある.腎癌では多結節性に認められ,ドプラにて豊富な血流を認めることが多い.若干の文献的考察を加えて報告する.