Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 甲状腺
エラストグラフィ他

(S661)

右鎖骨下動脈起始異常に対するコンベックス式電子スキャンプローブを用いた超音波検査

Ultrasonographic examination using convex type electronic scan probe for aberrant right subclavian artery

福島 光浩1, 小林 薫1, 太田 寿2, 藪田 智範1, 網野 信行3, 宮内 昭1

Mitsuhiro FUKUSHIMA1, Kaoru KOBAYASHI1, Hisashi OTA2, Tomonori YABUTA1, Nobuyuki AMINO3, Akira MIYAUCHI1

1隈病院外科, 2隈病院臨床検査科, 3隈病院内科

1Department of Surgery, Kuma Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Kuma Hospital, 3Department of Internal Medicine, Kuma Hospital

キーワード :

【背景・目的】
甲状腺手術では悪性腫瘍の浸潤などの特殊な状況を除いて反回神経を確実に温存することが求められる.反回神経はそれぞれ左右の迷走神経から分岐する神経で,通常右側は右腕頭動脈を反回して気管に沿って頭側に向かい,左側は大動脈弓を反回して気管に沿って頭側に向かい,それぞれ左右の声帯の運動を別々に司っている.右鎖骨下動脈起始異常は右鎖骨下動脈が右総頸動脈とは別に大動脈弓から4番目の分枝として直接分岐し食道後方を横走し胸椎の右側を上行する発生異常であり,大動脈発生異常の中では比較的頻度が高く0.5%から1.6%程度と報告されており通常無症状で経過し治療の対象とならないが,右反回神経は右鎖骨下動脈起始異常に伴い右腕頭動脈を反回しない非反回下喉頭神経として認められ,それに気づかず手術を行うと損傷する危険がある.右鎖骨下動脈起始異常であることが術前に判明していれば術中に非反回下喉頭神経を安全に同定することができ,誤って切断してしまう危険が少なくなる.現在当院では術前にCTを施行する全ての症例において右鎖骨下動脈が右腕頭動脈から分岐せずに直接大動脈から分岐していないかどうかを確認するようにしている.しかし,その目的だけにCTを施行するのは放射線被爆など患者の負担が大きく,無害とされる超音波検査で右鎖骨下動脈起始異常が確認ができれば患者の負担を軽減できる.小児水頭症などの診断に用いられているコンベックス式電子スキャンプローブ PVT-712BT(マイクロコンベックス)(TOSHIBA)は先端が小さく,かつ7MHzと比較的高い周波数のため,狭いウィンドウから比較的浅い領域を検査するのに適している.
【対象・方法】
2009年6月から2013年12月までに当院でCTを施行され,右鎖骨下動脈起始異常を指摘された51例(男性7例 女性44例 平均年齢50.24±13.86歳)を対象にした.コンベックス式電子スキャンプローブ PVT-712BT(マイクロコンベックス)を用い,正面から頚部気管を押すようにプローブを当て胸骨上縁から胸骨裏面へプローブを誘導し上縦隔内で右鎖骨下動脈と右総頸動脈が右腕頭動脈から分岐していないことを確認できるか検討した.
【結果】
検査を施行した右鎖骨下動脈起始異常症例の全てにおいて,右総頸動脈と右鎖骨下動脈がそれぞれ独立して走行し右腕頭動脈から分岐していないことを確認できた.
【結論】
コンベックス式電子スキャンプローブ PVT-712BT(マイクロコンベックス)を用いた超音波検査は右鎖骨下動脈起始異常を確認するために有用である.